caged bird



ここはカーミラ王国。

人口百万人を誇る大帝国。
今、街中は一つの話題で持ち切りであった。
それは―――

今年15歳になる第2王女・ヴィクトリアの婚約。

そして今日。
正式な発表まであと数時間となったとある部屋では口論が続いていた。

その室内にいるのは最近紙面をにぎわせているヴィクトリア・サン・シェラルドとその父――この国の王だ。

「あたしはまだ15歳なのよ? 結婚だなんて早すぎるの!」

「だが、相手は申し分のない男性だ、ヴィクトリア。容姿端麗、頭脳明晰。こんな落ち着きがない娘でも娶ってくださる相手なのだ」

“容姿端麗”“頭脳明晰”

そんな言葉たちに反吐が出そう。

「実の娘を相手に酷いわ! それから“娶る”なんて生々しい言い方しないでっ」

「そこまで変な言い方ではないだろう」

「どことなく変な雰囲気なのよ!」

話がずれている気がしなくもない。
でもここで引き下がるわけにもいかない!

「と、に、か、く! 結婚なんかしないわ!!」

「―――仕方がない奥の手を使うか」

そう不気味な単語が室内に響いた。


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