「エドガー・シトラス。名声も今の婚約者、ブライアンとあまり変わりない」
「結構位が高いのね。それで、いい男?」
やっぱりそこなのか。
もう慣れたことなのだが疲れる。
「ブライアンに引けをとらない位い男だ」
「きゃぁーっ」
王妃は歓喜の声を上げた。
ふたりはちらりと窓の外を見た。
そこには愛する愛娘とその婚約者が仲睦ましく(?)いた。
「微笑ましいわねぇ」
「そうだな」
「あの子がエドガーっていう子を選んだら、愛人に彼がほしいわ」
「……」
言外に“冗談はよせ”と国王は言う。
「ふふっ」
そしてもう一度ふたりを見つめる。
今度は何かケンカをしているようだ。
「結局はあの子が幸せになれれば何でもいいのよ」
「……ああ。そうだな」
決めるのは当人である、愛し守り続けてきた愛娘―――。
親がしゃしゃり出るものではない。
「やっぱりどっちか愛人に欲しい!」
「いい加減にしろ」
(王妃、只今妊娠29週間目)
They are talking behind closed doors.
(ただ今密談中です)
Keep A Secret
(あっ、いまお腹蹴った!)
(頼むからこれで落ち着いてくれ)
(こんなに元気だから男の子かしら。それともヴィクトリアみたいな女の子?)
(げっ……!)