俯かせていると、頭のてっぺんに冷たいものが触れた。
「わぁ…っ」
空を見上げるとふわふわと浮遊する白い塊。 もう子どもでもないのに、心が弾む。
その様子を見ていたのか翔の低い声が笑いを含んだ。
「なぁに、文句でもある?」
振り返ると、唇に暖かいものが触れた。 びっくりしてすごく近い翔の顔を見上げる。 ニヤッとした笑みを浮かべる翔に思わず見惚れてしまうのも事実で――どこかくやしいと感じるのも。
「もう一回、する?」
あたしに訊いているはずなのに、接近してきている罪深い唇は何なんだろうか。
そう思いながらも私は瞳を閉じてその口付けを待ちわびた。
fin.
-24-
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