やっと静まった我が家に心持ち安堵の溜め息を吐いて、窓を開け、ベランダに出た。

さっきまでは酷かった。
両親はシャンパンでべろべろに酔っ払うし、4歳の弟はクリスマスケーキで顔をベタベタにするし。
はぁ……。

頭上で輝くのは沢山の星々――と言うわけもなく、厚くかかった雲達が星達を隠してしまっている。

「クリスマスなのに…」

目を閉じる。
すると、浮んでくる響の姿―――。

「あんたは今日もわたしを独占する気なの?」

苦笑するけど、それを望んでいるのもわたし自身だった。
独占されたいし、独占したい。
でも、それはどうしても叶わない。

これは必然。
会えないのは絶対の理。

それでも、響を思い出さずにはいられない。

ああ、ほんと、

「ヒドイオトコ―――…」

そっと花の咲いていない胡蝶蘭に口付けた。




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