どこかに着いた途端、あたしはストンとどこかに降ろされた。


「ブライアン?」


首を傾げながら問うと、ブライアンは瞳を輝かせあたしの前で胡坐をかいた。


「今日は何の日? ヴィクトリア」


「今日?」


今日は何かの祝い日だったかしら。


「わかんないの? ヴィクトリアってば、ほんとに女の子?」


「女らしくなくて悪かったわね」


「そんなところも、すきだよ」


ジトリと睨むと、困ったように笑い出す。


こいつのいきなり告白にはもう慣れた。
(慣れちゃいけないとは思うけど、それこそ耳にタコが出来るほど聞かされたのだ)

「恋人たちが過ごす、聖夜――そして、神と謳われた男の生誕日。ここまで言えばわかる?」


答を促すように傾げられた首が憎い!
手刀をそこに入れてやろうかとも思ったけれど反撃を考えたら恐ろしくなってあたしの身体は止まったままだった。


「クリスマスでしょ。さすがにわかるわ」


ケラケラと笑い始めるブライアンを今度は頬をつまみたい衝動に駆られる。
けれど、その衝動を必死に抑えた。


「そう、正解。ご褒美にキスでもあげようか?」


「いらないわ」




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