HNで呼ばないで24
「どこもかしこも綺麗な色してる」
「な、なに? ……あンっ」
キュッと乳首を摘まれて、電流が走ったみたいに身体が跳ねた。
自分でもビックリするぐらい甘ったるい声が洩れてとっさに口を手で覆った。
「隠すな、もっと聞きたい」
熱っぽい囁きと共にねっとりとした舌が胸の突起に吸い付く。
こんな恥ずかしい声、聞かれたくない。
だけど、一度そこに意識がいってしまうと、どうしても刺激を敏感に感じ取ってしまう。
「……んっ……は……」
熱い舌と手で愛撫され、勃ちあがった乳首に吸い付かれ、今まで感じたことのない気持ちよさに次第に息が荒くなる。身体の芯が疼いて神経が一点に集中する。
「ア、キラッそこばっかり……やだ……っ」
じゃぁどこを触って欲しいんだと聞かれたら、恥ずかしくて答えられない。
慌てて足を閉じようとしたけど、股の間に身体を滑り込ませるアキラの動きのほうが早かった。布越しにカタチをなぞられゾクゾクするような甘い疼きが全身を支配する。
「もうこんなにして……やらしいな」
「……っぅんっ」
布越しのもどかしい刺激に無意識のうちに腰が揺れた。もっと触って、直に触れて、もっと……もっと。
自分の浅ましい気持ちに気がついてギョッとする。俺いま、なに考えて……っ。
「下着がもうべとべとだな。そんなに気持ちいいのか?」
「っ!」
下着の中に手が滑りこんでアキラの長い指が絡む。ユルユルと扱かれて先走りがアキラの手を濡らす。
俺、変だ。アキラに触られただけでこんな……。
鈴口から滴る雫で滑らかになったそこからクチュクチュっとイヤラシイ水音が響く。
「……ふ……ぁ……ンっ」
自分でスるより何倍も気持ちいいソレに鼻から抜けるような甘い声が洩れた。巧みな指遣いに翻弄されどんどん高みへと追い詰められる。
「アキラっ……下着取って…ン…っう」
「もうイきそうだな」
「……っ!」
ニヤッと笑いながら扱く手を止めずに顔を覗き込まれ、ブワッと羞恥心が増した。この状況でそれを聞くなんて、絶対性格悪いっ!
「冗談だ。そう怖い顔するな」
チュッと額にキスが降りて、ズボンと下着を一気に脱がされる。
頬や首筋に柔らかなキスの雨。乳首に熱い舌が絡み吸いつかれて、身体が大きく跳ねた。
下半身への愛撫と胸への刺激。両方なんてそんなの容量オーバーだ。
「んっっ、ぁっ! あっ! アキラ……っ」
電気が走ったみたいな強烈な快感に耐え切れず、アキラの手の中に放出してしまった。
「……っ、こんなのずるい」
「ん?」
俺ばっかり興奮させられて余裕なくなって、こんなの不公平だ。射精後の気だるさに身を委ねながらそう告げると、アキラは少し驚いたような表情で俺を見た。
そりゃ確かに気持ちよかったけどさ。俺ばっかりアキラに翻弄された感が否めない。
「渡瀬ばかりだと思うか?」
「え?」
腕を引かれ、アキラの股間に手が触れる。
「――あ……」
ドキリとした。アキラのアソコ凄く硬くなってる。
「俺だって、必死に我慢してるんだからあまり可愛い事言うな」
ギュッと抱きしめられてアキラの胸に押し付けられた。
アキラの心臓、凄い速さで脈打ってる。俺と同じ……いや、それ以上にドキドキして……。
全然気付かなかったけど、アキラも俺で興奮してくれてたんだ。
そう思うと、胸がキュンってなった。
「馬鹿……っ、我慢なんてしなくていいのに」
「……っおまえなぁ、俺は教師でお前は生徒。下には親御さんもいるし、見つかったらまずいだろ」
それはそうだけど、でも……。
「わかってるけど、俺はアキラと一つになりたい。アキラになら何されても構わないって言ったじゃないか――」
最後の方は熱い口付けに呑みこまれて言えなかった。
貪るような荒々しいキスに収まっていた熱が再び上昇していく。
「ん……ンっ」
「後悔しても知らないからな」
「馬鹿……そんなのするわけない」
後悔なんて、しない。恋人同士一つになりたいって思うのは自然な事だから。
背中に腕を回して熱烈なキスに夢中になっているとグッと膝頭を持ち上げられた。両足を割り開かれ尻に手が伸びる。
冷たい指の感触が最も触れて欲しくない部分に触れる。一瞬ヒヤッとして腰を引きそうになったけどなんとかそれを押しとどめた。
大丈夫、怖くない。だってこれは大好きな人の手だ。
「……んっ」
長い指が入ってくる。慣らすようにゆっくりと押し入ってくる感触に身体が震える。
痛くはない。ただ、なんとなく変な感じ。少しずつ指の本数を増やされ、内部でバラバラに蠢く。
不安げな俺を宥めるように優しくキスをしてくれる。それだけで身体から余計な力が抜けて、指がグッと深く挿入された。その刹那、ビリッと何かが背中を駆けた。な、なに?
今の。覚えのある感覚に全身が総毛立つ。
「あっ、んっ」
「ここか」
アキラの指がその場所を確かめるように何度も同じ所に触れる。そのたびに言いようの無い快感が渦を巻き、嬌声が洩れた。
「な、なんか変だよそこ……っふあ……」
「変じゃないさ、ここを擦ると気持ちがいいだろう?」
執拗に同じ場所を攻められて身体がビクビクっと跳ねる。
アキラに触れられた箇所が熱くてぐずぐずに溶かされてしまいそうだ。
「……っ、そろそろいいか?」
「んっ、いい……いいから早くっ」
熱っぽく囁かれ、コクコク頷いた。指を引き抜くと同時に熱い塊が押し入ってくる。
「――っ……く……あっ」
覚悟はしていたけど、やっぱりきつい。指ならすんなり飲み込んだのに、物凄い圧迫感に息が詰まりそうになる。
「く、やっぱキツいな……大丈夫か」
「だ、大丈夫っ」
全然大丈夫なんかじゃなかったけど、止めて欲しくなくて精一杯の笑顔を作って見せた。
腰を抱えられ足を高く持ち上げられた。無理な体勢に身体が軋む。内臓を押し上げられるような感覚に自然と眉間に皺がよる。
「……ふ……っん」
「やっぱり辛そうだ。あまり無理はさせたく……」
「大丈夫! 俺なら、平気だから……続けろよ」
心配そうに顔を覗き込んだアキラの言葉を遮って、頬に触れた。
ここで止めたら、俺はきっと後悔する。
「こうやってするの、初めてじゃないだろ?」
あの時はもっと乱暴に、引き裂かれそうになるくらい強引に無茶苦茶にされた。
心も身体もぼろぼろになるくらい苦しくて辛い、そんな記憶しかない。
「俺に教えてよ、愛されるってこんなに気持ちがいいんだって……」
「――っ」
貪るような激しいキスと共にグンッとアキラが押し入ってくる。深く突き上げられて悲鳴にも似た嬌声が洩れた。
ゆっくりと、さっき探し当てたポイントを刺激されビクッと大きく身体が跳ねる。
「あっ! っぅんっ……あぁン」
次第に深く激しくなっていく動きに、痛みだけじゃなく別の感覚が混じり始める。
俺の声も次第に甘いソレへと変わって、無意識のうちに腰が揺れた。
「渡瀬っ」
目を開けると切羽詰ったような表情のアキラがいて、それが堪らなく嬉しい。
だけど、苗字で呼ばれるたびに心に変な空間が生まれる。身体は熱くて仕方がないのに、心だけがどんどん冷めていくような……。心だけが置いてきぼりをくらったような不思議な感覚。なんだろう、この気持ち。
いくら考えても答えは見つからず、身体の方はどんどん高みへ追い詰められる。
一際大きくアキラの身体が震え、クッと息を詰めた。
「ハル……っ」
「あっ、あ……ぁあっ!」
アキラに名前を呼ばれた途端、胸がキュンと苦しくなった。そして身体の奥に熱い飛沫を感じながら俺も二度目の絶頂を迎えていた。
――あぁ、なんだ、そっか。
違和感の原因が、なんとなくわかった気がする。