No title
「は、ぁ……」
「ちょっと触っただけなのに何感じてんだよ。菊」
「わ、私は感じてなんかいません!」
シンクに手を突いてブンブンと首を振るが、彼が触れるたびに甘い痺れが湧きおこり下半身にもどかしい疼きが広がってゆく。
「なぁ、スーツの下ってやっぱ褌なんだよな?」
「っ!」
耳元で囁くような声に嫌な予感がした。それとほぼ同時にカチャリとベルトのバックルが外され器用にズボンのホックが外される。
「うっわ〜。すっげぇやらしいな、ケツが丸見えだぜ」
「やっ……見ないでください」
慌てて止めようとしたが既に遅く、ひやりとした掌が露わになった双丘を撫で褌の隙間に指がかかる。もう片方の手は前に回りすっかり反応を始めてしまっている本田自身に触れ、ゆるゆると扱かれて鼻から抜けるような甘い声が洩れた。
「……っ、ふ……ぅっ」
「感じてないって言う割に随分とコッチは元気そうじゃん?」
「あっ、それはっ……」
意地悪く言いながら褌を僅かに横にずらし、ツツっと秘部に指を這わせられて無意識のうちに腰が揺れる。
「ここも物欲しそうにヒクヒクしてるし」
からかうような口調に慌てて指の侵入を止めようとするが、無駄な抵抗で思いとは裏腹にアーサーの指をなんなく呑み込んでしまう。
アーサーは慣れた手付きで本田のもっとも弱い部分を探り当てるとソコを集中的に刺激し始めた。
「は……ぁん、あっ! アーサーさんソコ……駄目ですっ」
堪らず背中が弓なりにしなり抗いようのない快感に身を震わせる。急速な射精感を覚えたが、直ぐにポイントをずらされてもどかしい刺激に膝ががくがくと震える。
シンクに掴まっていないと立っていられなくなってしまいそうだ。。
「褌ってのは便利でいいよな。わざわざ全部脱がさなくてもコトに及べるんだから」
わざとらしく太腿にアーサーの熱を押し付けられてゴクリと喉が鳴った。下腹部に行き場の無い熱が集中してゆく。
「あっ、ん……アーサーさん……もう……」
「そんなに我慢できないのか? いやらしいなぁ菊は」
「……っ」
いつもなら、そんな事は無いと反論するのだが、今はとてもそんな余裕なんてない。一刻も早くこの熱から解放されたくて本田はコクコクと頷いた。
それを見たアーサーは満足そうに微笑むとガチガチに硬くなった自身を取り出し熱く火照った本田の秘部へと押し当てて腰を掴んでゆっくりとそれを埋めて行く。
「あぅっ……んぁっ」
幾度も身体を合わせてはいるが、後ろから抱かれる事にはあまり慣れていない。アーサーの姿が自分から確認できないのが不安だった。
「はっ……、ん、ん、……ぁっ」
体位のせいだろうか。いつも以上に奥深くまでアーサーが入って来ているような気がして本田は戸惑いを感じた。
「あぅっ、あっ」
アーサーが突然前触れもなく動き始めた。本田の腰をがっちりと抱いたままアーサーはひたすら本田の身体を貪った。
「やべぇな、コレ……すげぇクセになりそうだ」
「あっ、な、何を言っているんですか?」
「なんでもねぇよ」
頭を持ち上げて背後を振り返るとアーサーがキスをくれた。淡いグリーンの瞳が欲情の色に染まり本田の腕ごと背後から抱きしめて激しく突き上げる。
「ぁんっ、あぁっ」
しっかりと拘束されて逃げる事も出来ずに、本田はアーサーの動きを受け止めた。足がガクガクしてシンクに倒れ込みたかったがアーサーがそれを許さない。
向かい合って抱き合っている時は好きなだけアーサーの背中を抱く事が出来たのに。キスがしたいと思ったら少し顔を持ち上げるだけで伝わったのに何もできないのがもどかしい。
突き上げられるとアーサーの性器の先が本田のイイ場所を擦る。ソコを刺激されるたびにココが台所で、早く夕飯の支度をしなければいけない事とか、様々な事が頭からすっぽりと抜け落ちて行く。恥ずかしいなんて気持ちは何処かへ行ってしまった。もう何も考えられなくなって本田は身体をのけ反らせてアーサーとの行為に没頭した。