Secret Addmirere(1)
「よし。あとはこれを入れて煮込めば完成だ」
とある地下の一室で、アーサーが真っ黒なマントを頭からすっぽりと被り、なにやら妖しげな呪文を唱えながらグツグツと煮たった大きな鍋をぐるぐると掻き混ぜている。
辺りは薄暗くろうそくの明かりか辛うじて室内をてらしているのみ。
『一体何を作っているの?』
突如何もない空間に現れた妖精が尋ねるとアーサーは得意げに鼻の下を擦って言った。
「誰にでもよく効く催淫剤さ。もう直ぐヴァレンタインデーだからな、これを菊に渡すんだ」
『ふぅん。上手くいくといいね』
彼の手には古い書物が握られており、いやらしい笑いを浮かべるアーサーを妖精は生暖かい目で見つめている。
「あぁ、きっと大丈夫だ! これさえ食わせればアイツはきっと……」
大きな鍋の中身を見詰めアーサーは媚薬入りのチョコを食べさせた後の事を想像し始めた。
「私……なんだか身体が熱くて……」
官能的に潤んだ瞳で見つめながら、本田が熱い吐息を洩らす。着物の裾から伸びた細い腕が首にかかり畳みの上に倒れ込むようにして押し倒された。
「アーサーさん……」
ひやりとした指先がアーサーの頬を撫で、ゆっくりと唇が重なる。
「ん……っん……」
自ら誘い込むように舌を絡め、息をするのも惜しいほど深く口付けを繰り返す。
「おいおい、どうしたんだよ。今日はやけに積極的だな」
そっと唇を離し、首筋から胸にかかるラインをなぞると身体がびくりと震えた。
「わ、わかりません……でも今、凄く……凄く、貴方が欲しいんです」
そう言いながら起き上がると、本田は徐にアーサーのズボンに手を掛けた。そして、既に勃ち上がり始めたソレを掴むと躊躇いも無く口に含む。
「お、おいっ。おま……っ」
静かな空間にジュブジュブと卑猥な音が響き渡り、慌てて半身を起したアーサーは滅多に見られない光景にクラクラした。
「気持ちよく、ないですか?」
咥えながら上目遣いで尋ねられ、ゾクリと腰が震える。競り上がって来る射精感にアーサーははぁ、と堪らず熱い吐息を洩らした。
「気持ちいいに決まってるじゃねぇか。たく、犯罪だぞソレ……そんな事言われたら俺手加減出来なくなっちまう」
「手加減なんてしなくていいです。今夜は貴方の好きにしてください」
切なげに息を吐きながら、恥ずかしそうにモジモジと腰を揺らす本田の姿は妖艶で、肌蹴た着物の隙間から白い肌がチラリと覗き思わず喉が鳴る。
こんな姿を見せられては冷静で居られるはずがない。
「本当に、どうなっても知らないからなっ」
アーサーは本田の着物に手を掛け上半身を裸にすると肩を掴んでギュッと抱きしめた。そして――。