アレ・コレ考えたって3

「ほら、駄目だって言ってる割にお前だって興奮してるじゃねぇか」

「あ……」

太腿の付け根をゆっくりと撫で上げると、内腿がブルブルと震え熱い吐息を洩らす。

「ここももうグショグショで、早くイカせて欲しいって訴えてる」

「……っ」

先走りで濡れた指先をわざと見せ付けるようにして舐めあげると菊は真っ赤になって俯いてしまった。

恥ずかしそうに顔を背け小さく震える菊を見ていると、すげぇムラムラしてきて我慢できなくなってくる。

「なぁ、後ろ向けよ。俺もう我慢できねぇ」

「え? ――あっ!?」

強引に身体を反転させ壁に手を突いた状態で、腰を引き寄せいきり勃った自身を取り出し、と割れ目に押し当てる。

「ちょっ、駄目ですアーサーさん……こんな所でなんて」

「うるせぇな。あんま大きな声出すと本当に誰かに気付かれちまうぞ」

「っ!」

ハッと息を呑んだ菊の腰を掴み、前を扱きながらゆっくりとナカに埋めて行く。

「く……やぁっ、あっ、あっ」

全てを埋めて、腰を揺すりながら菊の自身を扱いてやると菊の口からひっきりなしに甘い声が洩れる。

シンと静まり返ったトイレの中に衣擦れの音と甘い声が響き渡る。いくら口で嫌だと言っていても、身体はちっとも嫌がっていない。

嫌だ、いやだと繰り返す菊をもっと啼かせてやりたくなって、俺は夢中で菊の身体を貪った。


「……アーサーさん、私……嫌だっていいましたよね?」

「わ、悪い。つい止まらなくなっちまって……」

行為の後、着衣を整えながら菊がゆっくりと顔を上げた。心なしかいつも穏やかな菊の背後に怒りのオーラが滲んでいるように見えて俺は思わず半歩後ずさる。

「つい、じゃないですよ! こんな誰が来るかもわからない場所でなんて……貴方の神経を疑います!」

「――っ」

生理的に潤んだ瞳で睨みつけながら、はっきりとそう告げて菊は走ってトイレから出て行ってしまった。

絶対今のは怒ってた、よな。

まぁ、当然と言えば当然か。殆ど八当たりも同然でヤっちまったわけだし。

「あ〜、何やってんだよ俺……」

何処からともなく、休憩時間終了のアナウンスが聞こえてくる。

こんなつもりじゃなかったのに。

判泣き状態で出て行ってしまった菊の姿を思い出し、後悔の念に囚われて俺は思わず頭を抱えた。

会議の後半戦が始まっても、俺の頭の中はさっきの事でいっぱい。

ルートヴィッヒがなにやら必死に喋ってるみたいだが、殆ど聞き流しているような状態だ。

自分ではそこまで器の小さな男じゃないと思っていたのに、菊と他の国が仲良くしているのを見るとどうしても苛々しちまう。

しかもそれを日本に当たるなんて俺、サイテーじゃん。途中何度か目が合ったが、直ぐにツーンと逸らされてしまった。

……これは本格的にやばいかもしれない。

俺の完璧な明日の計画が音を立てて崩れていく。

流石にこのままってわけには、いかないよな。なんとかしないと……。




「なぁ、菊。これから空いてるか?よかったら飯でも食いに――」

「申し訳ありませんアーサーさん。私、今日はルートヴィッヒさん達と先に約束があるので失礼します」

思い切って声を掛けたものの、菊は畳みかけるようにそう言って挨拶もそこそこにルートヴィッヒの腕を引いてホールから出て行ってしまった。

「ちょっ、待ってよ〜! ルッツ〜! 菊〜っ」

その後を追うように、フェリシアーノが間抜けな声を上げながら走って行く。

こりゃ、マジで嫌われちまったか? 目の前が真っ暗になったような気がしてなんだか鼻の奥がツンとする。

「可哀相に、ふられたのかい?」

「ほっとけよ。どうせコイツが見境なしにサカったりして怒らせたんだろ」

「うっせーよ馬鹿! てめぇらには関係ねぇ事だ」

人の不幸は蜜の味とばかりにニヨニヨしながら近付いて来るフランシスとアル。

ただでさえ凹んでるのにこいつらと関わってたら、病んでしまいそうだ。しかも、大方当たっているだけに反論のしようがない。

「悪いが俺帰るわ。いつまでも油売ってないでお前らも早く帰れよ」

それだけ言うと俺は堪らず立ちあがった。けして逃げ出すわけじゃないが会議も終わった以上長居する意味もねぇし、何よりこいつらに弄られるのがうっとおしくて、早々にホールから出る事にした。


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