アレ・コレ考えたって2
全く、んなわけないだろうが。あいつらと居ると本当に調子が狂う。
俺は席を立ち、トイレに駆け込んだ。自分が今どんな顔をしているのか、鏡の前に立ってチェックする。取り敢えず思ったよりも普通の顔をしていてホッとした。
モヤモヤする気持ちを静めつつ髪を整えているとなんと、菊が入ってきた。
「あっ」
「……」
まさかこんなところで出くわすとは思っていなかった。会ったら色々と話したいことがあったのに、考えていた言葉がひとつも出てこない。
それどころか、さっきの光景がちらついて口を突いて出るのは冷たい言葉ばかり。
「よぉ、色んな国に媚売らなきゃいけないなんて大変だな、ホスト国ってやつは」
「アーサーさん、何を言って……?」
「ちやほやされすぎじゃねぇ? 嬉しそうな顔しやがって」
「私は別に嬉しそうな顔なんかしてません」
「俺にはめったにメール寄越さないクセにフランシスとはこまめに連絡を取り合ってるみたいだし?」
「それは、貴方とは直接会ったり頻繁に電話で話をしているのでメールする必要が無いからですよ」
俺の言葉に日本は心底困ったような顔をする。そんな顔がみたい訳じゃねぇのにどうして俺はこんなことしか言えないんだ。
これじゃぁまるで、ほかの奴らと仲良くしてる菊に当たっているだけだ。
でも、この胸のモヤモヤはそう簡単に収まってくれる筈もなく強引に菊の手を取るとそのまま個室に連れ込んだ。
「……やっ……」
トイレの壁に押し付け逃げようとする顎を持ち上げて、噛みつくようなキスをする。舌を深く差し入れ、菊の味を貪りながらスラックスからワイシャツを引き抜いた。熱い素肌に触れると日本の身体がびくりと小さく跳ねて、慌てて俺の身体を両手で押し返えそうとする。
「あ、アーサーさん……こんな所では……っ」
「大丈夫、誰か来たら見せ付けてやればいいんだよ。お前が誰の物かはっきりさせるいい機会じゃねぇか」
「そんな……あっ、駄目っだめです……」
嫌がる菊の手を押さえ付け、構わずに首筋の見えるか見えないかギリギリの所に吸いついて、紅い徴を付ける。
壁に押し付けて肌蹴たシャツの隙間に手を差し込み弱い胸の突起を指で弄ると菊の口から切ない嬌声が洩れ始めた。
「あっ、あん……や、駄目っ駄目ですってば」
「いいのか? このまま止めても。こんな中途半端な状態で止めたら辛いのはお前だぜ?」
「そ、それは……でも……」
嫌々と、首を振る菊に構わずズボンを下げて下半身に触れると、菊は小さく息を詰まらせた。