お酒はほどほどに1

「やぁ菊! 今夜の予定は空いてるかい? 実は新年会があるんだけど君にもぜひ参加して欲しいんだよ」

家でゆっくりと寛いでいると、アルフレッドさんから電話がかかって来た。

「新年会……ですか?」

「あぁ。いつも会議で顔を合わせるだけだから、たまにはいいだろう?」

「で、でも今夜は用事が……」

「今、各国に声を掛けている所なんだ。今夜7時開始だから」

ほぼ一方的に用件だけ告げると、アルフレッドさんは電話を切ってしまった。

「誰からなんだ?」

電話を置いて部屋に戻ると、すぐさまアーサーさんが尋ねてくる。

「それが、アメリカさんから今夜新年会があるから来て欲しいと言われまして……」

「新年会だぁ? 俺そんな話全然聞いてねぇぞ」

「なんでも、今皆さんに声を掛けてまわってるとか」

「ふぅん。いきなりの新年会か……アイツらしいっちゃ、アイツらしいけど、一体何人集まるかな」

みかんを食べながら、参加しそうな人物を指折り数え始めるアーサーさん。今夜は久しぶりに二人で過ごせると思っていたのに、気分はもう新年会へ行く事に傾いている様子。

「あの、私はあまりそう言う賑やかな場所は苦手なんですが……ビールとかもそこまで得意ではないし」

「大丈夫だって! 焼酎とか日本酒とか、きっと置いてあるだろうし、飲まなくてもきっと楽しいって」

一緒に行こうぜ! と、笑顔で言われてしまったら断り辛くなってしまいます。

「飲めなかったら無理して飲む必要もないだろ。代わりに俺が飲んでやるし、顔見せるだけでもいいじゃん」

「は、はぁ。じゃぁ、顔を見せるだけなら……」

「じゃ、決まりだな♪」

今夜はタダで酒が飲める! と浮かれているアーサーさんは、本当に嬉しそう。

こうして、私とアーサーさんの新年会参加が決定した。

酔ったアーサーさんがどうなってしまうのか……この時の私には知る由も無かった。


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