正月3

「はぁ……ぁあんっアーサーさ……も、や……っ」

「嫌? すげー気持ちイイの間違いだろ?」

「……っ」

上目遣いで尋ねると、菊が唇をきゅっと噛みしめ生理的に潤んだ瞳で切なげに眉を寄せた。

「ほら、身体は正直だな。ここも物欲しそうにひくひくしてるぜ」

指にたっぷりと唾液を絡め後孔に指を宛がうと、二本の指を簡単に呑み込んでいく。

「んっ! ふ……」

前と後ろを同時に刺激すると、堪え切れなくなった菊の身体が肘からがくりと崩れ落ちた。

「あっ! はぁ……アーサーさんっ駄目ですっ! 私、も……ぁんっ」

「イってもいいんだぜ?」

「い、いやです。アーサーさんと一緒じゃないと」

ハァハァと肩で荒い息をしながら、熱い掌が俺の頬に触れた。官能に濡れた瞳が誘うように俺を見詰め思わず喉が鳴る。

もっと焦らして楽しもうかと思ってたのに、そんな目で見られたら俺も我慢出来そうにない。

恥ずかしそうに頬を染めながら、モジモジと腰を指に押し付けてくる仕草に目眩がした。

「なんだよ、こんな明るいうちからスるのは嫌だったんじゃなかったのか?」

クスッと笑いながら意地悪く尋ねてやると、菊は俯いて今にも湯気が出そうなほど真っ赤になってしまった。その仕草が堪らなくグッとくる。

「こんな状態で意地悪言わないで下さい……」

それだけ言うと、誘うように腰を浮かせて腰に足を絡めて来る。なんだかんだ言っても気分がノってきた菊は積極的でいい。

流石、脳内で妄想してるだけの事はあるな。表には出さないけど実はコイツが一番ムッツリスケベなんじゃ無いかと思う。

「ふふ、その顔すげぇイイな」

俺は炬燵の中でズボンを脱ぐと覆いかぶさる様にして菊の頬をそっと撫でた。

「――っ」

視線が絡み、引き寄せられるように唇を重ね、ゆっくりと俺の背中に菊の腕が回る。

綺麗な黒髪、陶器のような滑らかな肌。その薄い唇も切なげに寄せられた形のいい眉毛も全部俺のモンだ。

深く口付けながらゆっくりと腰を抱え位置を合わせる。そして――。



「それじゃぁ、本田さん。俺達そろそろ戻りま――」

「!?」

突然障子がガラリと開いて、菊の部下が顔を覗かせた。

その瞬間、物凄い勢いで突き飛ばされ顎がグキッと嫌な音を立てる。

「あ、ははっもしかしてお邪魔でしたか?」

「い、いえっ。そんな事はありませんよっ」

ささっと上半身の乱れた着衣を直し、ブンブンと首を振る菊。

つーか、超邪魔なんだけど。見りゃわかるだろうが! 痛む首を擦りながら睨みつけると、場の空気を読んだのか、部下は慌てた様子で「それじゃ!」と言いながらそそくさと障子を閉めた。

「たくっ、邪魔しやがって」

後に残ったのは気まずい空気。俺はこのまま続行でもいいんだが菊はそうもいかないらしく、

「……っ。あのっ、私……先にお風呂行ってきますっ!!」

「え”っ!?」

いきなりスクッと立ち上がると逃げるように部屋から出て行ってしまった。


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