我慢比べ11

「っ……んっ、んっ」 

「すっげ、やっぱお前のナカは気持ちいいな」

「は、恥ずかしい事言わないでください」

「なんでだよ。事実だし、言わなきゃわからないだろ」

恥じらう姿を見ていると、もっと我を忘れるほどに晒し出してくれたらいいのにと思ってしまう。

アーサーは一定のリズムを刻みながら確実に弱いポイントを突き上げ、天を向いていきり勃ったそれを扱いた。

「あん、あっ……あぁっ!」

激しく擦り上げると本田は切羽詰まった声をあげ、きつく首にしがみ付いて来る。

「く……あんま締め付けるなよ。キツイ」

意識的なのかそうでないのかは定かではないが内壁がひくひくと収縮する動きに煽られて射精感が高まる。

「アーサーさん……私、私……もう我慢できませんっ、ぁあっ!」

「我慢なんかしなくていいんだぜ」

「い、いやです。アーサーさんと一緒に……」

フルフルと首を振り、快感に瞳を潤ませながら熱い息を吐く。

もっと時間を掛けてやろうと思ったのに、そんな事を色っぽい声で耳元に囁かれてはこちらも我慢出来るはずがなかった。

「じゃぁ、一緒にイこうな――っ」

片手で彼を扱きながら、本田の身体を強く抱きしめ、激しく腰を打ちつけてタイミングを合わせる。

「……っ」

本田の身体が一際大きく震え、声にならない喘ぎと共に手の内に精を放つとほぼ同時に、アーサーもまた彼の内部に熱い飛沫を注いだ。

「あ……凄い。私のナカでアーサーさんがドクドクいってます」

「っ……お前、それを今言うのは反則だろ」

行為後の脱力感に包まれたまま、惚けた表情でうっとりと呟いた彼の言葉にアーサーは思わず苦笑した。

あれだけ散々恥ずかしいと言っておきながらドキリとするようなセリフを言われ、こらが赤面してしまう。

「?」

不思議そうに首を傾げる彼を見て、アーサーは「かなわねぇな」と破顔した。

ずるりと引き抜くと、本田が小さく「ぁっ」と声を上げた。


「なんだよ、物足りなかったのか?」

「そ、そんなわけないじゃないですかっ!」

すっかりいつもの調子を取り戻し、くるりと背を向ける。

結局、本田に卑猥な言葉を言わせる事が出来なかった。それだけが心残りで、アーサーははぁと溜息を洩らした。

だが、こんな事でめげるアーサーでは無い。

「どうかしましたか?」

いきなり溜息を吐かれた事に驚いて、本田が心配そうにこちらを振り向く。

「なぁ、菊。俺とバイブ……どっちが気持ち良かった?」

「なっ!?」

突然の質問にあっけにとられ、みるみるうち本田の顔がゆでダコのように赤く染まってゆく。

「なぁ、そのくらい答えてくれてもいいだろ?」

「〜〜っ、知りません! そんなの。 私、もう寝ますからっ」

本田は真っ赤になってうつ伏せになると「おやすみなさい」と言って毛布を頭からすっぽりと覆うように被ってしまった。

「なんだよ、それ。教えてくれたっていいじゃないか。じゃないと……」

「――えっ?」

 にやりと笑い、アーサーは布団の中へ潜り込むと本田の太腿にキュッと吸いついた。

「あ、……やっ! アーサーさ……っ今、シたばかりなのに」

「なんだよ、眠いんだろ? 寝てていいから」

意地悪い笑みを浮かべながら太腿の付け根を愛撫したり唇で睾丸を挟んだりして弄ぶ。でもけして直には触れずそのもどかしさに、本田は枕に顔を押しつけて身もだえた。

「……ん、ぁ……はっ」

先端からは先走りが滲み、行き場の無い快感がとめどなく襲ってくる。今までの余韻も相まってずっと堪えて来た何かが自分の中でプツリと切れる音がした。

堪らず本田は布団から這い出て来ると、ふぅっと熱い吐息を洩らした。

「わかりました。このままじゃ私も辛いですから」

「おっ! 言う気になったのか? 最初から素直に言えばいいんだよ」

「こんな風に意地悪されてばかりじゃ、眠れるものも眠れませんからね」

溜息混じりにそう言うと、本田は中途半端に着ていたシャツをゆっくりと脱ぎ白い肩を露わにさせる。

「教えてあげてもいいですが、聞くだけ聞いてこのまま大人しく寝るのと、これ以上何も強要せず朝まで私と熱い夜を共にするか。どちらか選んでください」

色っぽい息を吐きながら、そんな事を上目遣いで言われてアーサーの喉がゴクリとなった。

「で、でもお前だってこのまま何もせず大人しく、なんて辛いだけだろう?」

「あぁ、大丈夫です。私……アーサーさんの指を想像しながらでもイケますから。快感には素直に従っておけ、でしょう?」

「お、俺の指……」

「さぁ、どうします?」

にっこりと微笑まれ、思わず自分の指を想像しながら手淫に耽る本田の姿を妄想し目が眩んだ。

「そ、そんなの……後者に決まってんだろ!」

「ふふ……じゃぁ、そう言う事で」

ガバッと覆いかぶさって来るアーサーの背に腕を回しながら、本田はクスッと笑った。
こうして二人の熱い夜は更けて行った。


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