我慢比べ9
「でも、アーサーさん……ソファではやはり気が引けるのでベッドに行きませんか?」
「ん? そうだな。この体制じゃちょっときついか」
確かにソファだと色々と後処理が面倒だったりもする。別に気にはならないのだが、本田はどうしてもそれが気になるらしい。
ベッドルームに移動し、本田は自ら上着を脱ぎ始めスラックスに手を掛けた。その積極性に若干驚いたが、シャツと下着一枚になった所で手を止める。
「おい、どうせ脱ぐなら全部脱げって」
自らのバスローブに手をかけ既に準備万端なアーサーは、中途半端なその姿に不満を口にした。
「全部はちょっと……」
「なんでだよ」
「だ、だって恥ずかしいじゃないですか」
もじもじと恥ずかしそうに俯く。今更裸なんて何度も見ているし恥じらう必要もないのに。
そう思ったが、折角気分がノりかけてきた彼の興をそいではいけない。
「そんなもんか」と、小さく呟いて腕を引いた。
ベッドに腰掛けてクスッと笑いながら視線が絡み、どちらかともなく口付けた。
久しぶりに触れ合うキスは甘く、くすぐったささえ感じた。一度唇を合わせると、先程までのギクシャクした空気は一掃され代わりに甘い雰囲気が部屋中に漂い始める。
「ん、……んっ」
首に腕を回し自ら舌を絡ませる姿が新鮮で、異様な興奮を覚えた。
「今日は随分と積極的だな」
「それは、久しぶりですから」
熱を孕んだ潤んだ瞳を向けて、はにかみながらそう答える。
言われてみれば、こうやって肌を合わせるのは先日の一件以来だ。
「この数日間、一人でシなかったのか?」
「私はもう若くないので、そんなに頻繁にサカったりしませんよ」
「なんだよ、それ」
苦笑しつつベッドにゆっくりと押し倒し、髪を梳きながら本田の舌を強く吸い、自分の口の中へと誘い込む。歯列をなぞり口腔内を隅々まで堪能して、熱い口付けを繰り返す。
その間に胸の小さな突起を見付け指で摘まむと本田の身体がびくりと震えた。人さし指で押したり潰したりすると意識がそっちに行ってしまい唇がおろそかになる。
本田の弱い所は何度も身体を重ねているから熟知している。耳元、首筋、胸などは特に弱く、触れると敏感に反応を示す。
一つ一つの弱い部分に唇を落とし、舌先でくすぐると堪らず本田が身体を捩った。
「あっ……もう……、くすぐったいですよ」
「こうした方が気持ちいいだろ?」
尋ねると本田は返事の代わりにコクリと頷く。
アーサーはそんな彼の腰を抱き硬くなった下半身を押しつけて上下に揺らした。下着を付けた状態でされるのがもどかしいのか本田も自然に腰をくねらせる。
肩に唇を落とし、下着の中に手を差し込み熱くなった自身に触れ握りこむと先走りで濡れた先端がいやらしい音を立てた。
下着を腿の辺りまで下げ、下半身への愛撫を続けながらアーサーはまた首筋にキスをする。それから胸へと移動しぷっくりと勃ちあがったちいさな粒を口に含みチュゥと吸い上げた。
自分の手の中でどんどん本田が追い詰められていく。その様子が愉しくて仕方がない。
「ま、待って下さいっ」
肩で荒い息を繰り返しながら本田が切羽詰まった声を上げ、アーサーの手を掴んで動きを止めた。
「イきたきゃイってもいいんだぜ。快感には素直に従わなきゃな」
アーサーは押さえつける本田の指にも構わず、さらに追い上げ始めた。
「あっ、ぁあ……っ」
耳たぶを甘噛みし、舌を耳の穴に捻じ込むとわざとクチュクチュと音を立てる。突然の新しい刺激に耐えきれず本田は身体をびくびくと震わせるとアーサーの手の中に精を放った。