No title
その間にもアーサーの手が器用に太腿の辺りを弄りいやらしいタッチでズボンの上からもどかしい刺激を与える。
紳士だから、時と場所を選ぶんじゃ無かったのか!? と、文句を言ってやりたい気分だったが睨みつけた側から愉しそうに微笑まれて言葉を失ってしまった。
「な、何考えてるんですかっ! こんなとこで」
「菊があまりにもいい匂いだから興奮しちまったんだ」
「こ、興奮って……」
バスの揺れに合わせぴったりと腰を押し付けられ、二の句が継げなくなる。
尻の割れ目をなぞるようにアーサーの熱を感じ、どきっと心臓が一際大きく跳ねあがった。
凄く熱く、硬くなっている。こんな人が沢山いる場所で一体何を考えているのか。
「大丈夫か? 凄くドキドキしてるみたいだが」
アーサーの手が胸の鼓動を確かめるように自然な手つきで制服のブレザーの中へと入って行く。
「ア、アーサー……さんっ?」
「しーっ。静かにしろよ、周りに気付かれるだろ?」
咎めるようにアーサーの指先がシャツの上から乳首をきゅっと捻った。
「ン、……ぁっ」
強く摘ままれて尖りだした胸の飾りをひっ掻くようにされて、布越しのじれったくて甘い刺激から逃れようとしたけれど前も後ろも人ばかりで逃げ場は無い。
「アーサーさん、……んっ」
「菊、駄目だろ。声」
息を吹きかけるように囁きながら耳たぶを甘噛みされる。尖らせた舌が耳の中に差し込まれ濡れた音がくちゅっと頭の中で響く。感じた事の無い強烈な快感に膝から力が抜けて手すりを握っていた指先に力を込めた。
「あまり可愛い声出してると誰かに気付かれちまうぞ?」
胸から下半身のラインをなぞるようにツゥっと人差し指が降りてゆく。ズボンのチャックの上で、指がいったりきたりを繰りかえす。
もどかしくて、おかしくなってしまいそうで、自然と腰をアーサーのソレに押し付けるように揺らしてしまう。
どうしよう。ここはバスの中で、周囲は人だかり。少しでも声を上げたら気付かれてしまうかもしれない。
心臓が、痛いくらいに早鐘を打っている。冷たい汗がじわりと滲み背中を伝う。
「アーサーさ……ダメですっ……もう……っ」
早く降りたい。そうしないと声を押し殺しているのも立っているのも限界だ。
震える指先で降車ボタンを押し、菊の意を汲んだアーサーに支えられるようにして出口付近まで移動する。
傍目には途中で気分が悪くなった友達を介抱しているように見えただろう。
恥ずかしすぎて、バスを降りるまで菊は顔を上げる事が出来なかった。