No title
「悪かったな、菊……」
「い、いえ……。弟さん、元気ですね」
「あぁ……元気過ぎて困ってるんだ」
短く息を吐いて、頬を掻く。折角のムードが台無しになってどうも気まずい。
かと言ってもう一度勉強と言う気も起きない。
「ま、鍵も閉めたし……これで邪魔される事はねぇよ、っと」
「――え? うわっ!?」
ベッドに腰掛けたアーサーは、半ば強引に菊の両脇を掴みベッドに引きあげて押し倒した。
「ちょっ! 何考えてるんですかっ! 弟さんが下にいるんですよ!?」
「大丈夫、大丈夫♪ アイツはオヤツとゲームさえ与えとけば静かだから」
言いながら制服の隙間に手を入れてシャツを捲り上げ露わになった胸に舌を這わせる。
「や……ぁっ、駄目です……」
「駄目って言ってるけど、身体は駄目だって言ってねぇぞ?」
意地悪く言いながらボトムの中に手を差し込み熱く反応を始めた性器に指を絡める。
「ひゃ……っや……ば、ばれたらどうするんですか」
「そん時は、そん時だ。つか、そんな大きな声出すつもりなのか?」
「なっ!? ……そんな声出さないですよっ!」
恥ずかしそうに頬を染め、口を尖らせる姿が愛しくて仕方がない。
「ピーターの事は気にしなくていいから、俺達は俺達の時間を楽しもうぜ」
「気にしないなんて、無理ですよ……ぁあッ」
イヤイヤと首を振る菊に構わず胸と性器を同時に刺激してやる。
鈴口からは先走りの体液が溢れ、クチクチといやらしい音を響かせていく。
「ん、ん……ふ、ぁあん」
舌で胸の飾りを舐めたり吸ったりしながら、愛撫してやると堪えきれないのか菊の口から鼻から抜けるような甘い吐息が洩れはじめる。
「アーサーさん……っ早く……」
モジモジと腰を揺らしながら、潤んだ瞳で訴えられて思わず喉が鳴った。
そんな積極的な事を言われたら、理性なんて何処かへ飛んで行ってしまいそうだ。
菊のズボンに手を掛け、一気に引き抜こうとしたその時だった。
「アーサー! 暇だから遊びに来てやったぞ!」
「!?」
突然、ベランダの窓がガラリと開いて外から隣人のアルフレッドが飛び込んで来た。
「なっ!? ア、アル……っおまっ」
「なにやってるんだい? プロレスごっこなら俺も混ぜてくれよ」
「混ぜるかっ! てめっ人ん家にベランダ伝って入ってくるなっていつも言ってんだろうが! それと、空気読めよこの馬鹿!!」
「え〜、いいじゃないか。隣同士なんだし。いちいち玄関から行くよりこの方が早いんだぞ」
さも当然とばかりに主張して、ウインクしてくるアルフレッド。
(たく……どいつもこいつも邪魔ばかりしやがって!)
このままでは、二人とも欲求不満になってしまう!
壁に背を向けて、みの虫のように布団に包まってしまった菊を横目にアーサーは盛大な溜息を吐いた。