No title
「ん……っ、ぅあ、……ッ」
指なら容易く呑み込めたのに、それとはまったく違う想像以上の質量に息が詰まる。
内臓を圧迫されるような苦しさに思わず呻くと、アーサーさんが宥めるようにキスをくれた。
「大丈夫だから……力抜けよ」
苦笑いしながら腰を引き、また突き立てる。そしてまた腰を引き徐々に埋め込まれてゆく。
「は……ふ……っ」
痛い、苦しい。みぞおちの辺りまで詰め込まれているような圧倒的な熱。初めて味わう苦しさの逃し方がわからずに自然と目じりに涙が滲んだ。
二人の継ぎ目にゼリーを足しながら時間をかけて慎重に奥まで沈んで来るのを感じた。
「…………」
私の真上でアーサーさんが深い溜息を吐いた。吐息だけなのにソレが妙に色っぽくて、胸が熱くなる。
「……キツイな、すぐイっちまいそうだ」
手を重ね合わせ、啄ばむようなキスを繰り返しながら内壁を擦られ産毛が立ち上がる。
「ふ、あ……あっん……ぁあ――っ」
下腹部が触れ合い、全てを呑みこんだのがわかった。苦しくて仕方がないのに、アーサーさんと一つに繋がれた事が嬉しくて自然と頬に笑みが浮かんだ。
「なに、笑ってんだよ」
「あ……んっ、だって、アーサーさんと、一つに……なってるんですね……嬉しくて……」
「――――」
「……ッんっ!? んっ……んぅ」
正直な気持ちを口にしたら、いきなり嵐のようなキスに襲われた。足をグッと持ち上げられ肩に担ぐようにされて、腰が高く浮き上がる。
「……ぁあっ」
無理な体勢に身体が軋む。アーサーさんの人が変わってしまったかのように猛然と腰を使い始めた。
内壁をアーサーさんの硬い熱が擦る。容赦ない動きに私はぎゅっと目を瞑り、アーサーさんに縋った。
「――は、ぁっ、あ! ……ぁあっ!」
先程指で弄られた場所を、アーサーさんの性器が突いた。途端に体中に痺れが走って自分ではどうにもならない衝撃が身体の中を駆け巡る。
「あ、あんっ、や、そこっ! 駄目ですっ……」
「悪りぃ、もう抑えられねぇっ!」
「――えっ? ぁあっ! や……っ」
激しく打ちつけられて結合部からチュグチュグっと凄い音がする。淫らな音に煽られて、感じてしまう。凄いスピードで駆け上がるように快感が高まってゆく。
のけ反る身体を押さえ込まれ堪えきれない嬌声を荒っぽい口付けに塞がれる。
息も出来ないほど激しく揺さぶられ、どうにかなってしまいそうだった。ただ熱くて、もう何も考えられなくなる。
「あああっ……わ、私……もう、ふ、ぁあ――ッ」
濡れた性器にアーサーさんの指が絡んだ。中を擦るのと同じリズムで扱かれて、前と後ろを同時に責められる強烈な刺激に、本当にわけがわからなくなってしまう。
「こ、こんなの……ぁあっ駄目です、おかしく、なっちゃいます……っふ、ぁあっ!!」
「いいよ、もっと夢中になっちまえ。俺が全部受け止めてやるから」
「や、――あっ、だ……めっ」
アーサーさんの肩の上で自分の足がびくびくとわなないた。
「……愛してるぜ、菊……一緒にイこうな」
「――ッ! あ、ああぁ……っ!」
耳元で色っぽく囁かれ、堪えきれずに白濁を迸らせた。同時に私の体内に熱い迸りを感じる。
初めての感覚に、身体が震える。
「……ふ、ぁ……」
余韻でぐったりしている私の腹に、アーサーさんは放ったばかりの白濁を掌で塗りつける。その動きで自分がいかに沢山出したのかを思い知らされ、羞恥心が込み上げて来る。
「まだ、終わりじゃねぇぞ」
「……え? ――って、え? あ……っ」
私の中に居るアーサーさんはまだ硬さを失っていなかった。ジクジクと熱を持って押し広げられる感覚に頬が引き攣る。
「もう一回、な……今度はゆっくりするから」
「もう、無理ですよ……私、今ので腰が……っ、ああっ……ん……ぁっ!」
「めちゃくちゃ求めるって言っただろ? こんなんじゃ足りねぇ」
「う、そ……」
さっきとは違う角度で中を抉られ、ぞくりと身体が震える。
確かに、もう少し強引でもいい。何されても構わないとは言ったけれど……。
エロ紳士と呼ばれるアーサーさんの隠された本性を、私は侮っていたのかもしれない。
「夜は長いんだし、朝までたっぷりと可愛がってやるからな!」
「あ、朝まで!?」
恐ろしい事を口走り、俄然鼻息を荒くするアーサーさんを見て、くらりと目眩がした。
こんな事なら、以前のアーサーさんのままで良かったのかもしれません。
「も、もう……無理ですって〜っ!」
静かな室内に、悲鳴にも似た私の絶叫が響き渡るのだった。