No title
「駄目って……言ったのに……」
射精後の虚脱感に包まれながら肩で荒い息を繰り返していると、情欲の炎を宿らせた碧眼とぶつかった。
「――その顔、やべぇ……」
「――え?」
言うが早いか、アーサーさんは私の上から下りて自分の荷物をなにやらゴソゴソと探り始めた。
「あ、あの……」
もしかして、これで終わり――?
乱れた襟元を合わせ不安になって、その後ろ姿を見ているとアーサーさんがなにやら妖しげな小瓶を持って戻って来た。
「それは?」
「ローションだ。初めてなのに痛いのは嫌だろう?」
「!」
なんで、そんなモノを常備しているのか? と、聞いてみたかったけれど私が口を開くより先に唇を塞がれて再び布団の上に押し倒されてしまった。
その拍子に、私の太腿の辺りに明らかに自分の熱とは違う存在を感じてドキリと鼓動が一際大きく跳ねる。
アーサーさんが私で興奮している。その事実が嬉しいような恥ずかしいような……。
小瓶の蓋を開けると、その中身をアーサーさんは自分の手の上に出した。そして、掌にためたそれでゆっくりと私の下腹部を撫でる。
「んっ」
ゼリー状の液体がお尻の方へと伝って秘部を濡らす。人肌より少し冷たいゼリーの感触にぞわっと産毛が総毛だった。
「ゆっくり力抜けよ」
アーサーさんはペロリと自分の唇を舐め一気に指を埋めてきた。
ぬるりとゼリーの助けを借りて、指が容易く入って来る。
「……くっ……ぁ、んっ」
アーサーさんの指が、私の中をゆっくりと掻き混ぜて行く。ゆっくりと注挿を繰り返し、内部を拡げるようにバラバラの動きをする。
「痛いか?」
「よ、よく……わからない、です……」
取り敢えず、痛くは、ない。けれど、気持ちいいか? と聞かれたらそう言うわけでも無くて、自分でも初めての感覚に戸惑っている。
でも、アーサーさんの長い指先がある一点を掠めた途端、全身に雷を受けたような衝撃が突き抜けた。
「あ……っ! あ、あ――っ!!」
立てていた膝ががくがく震えて力が入らず、つま先がシーツの上を滑る。
「アーサーさ、そこ……っ」
「ここ、だろ?」
「――ぁあっ!」
わけがわからなくなりそうな強い快感に、さっき果てたばかりの性器が再び硬くなり始めている。
自分の身体の変化が信じられなくて戸惑っていると、アーサーさんが空いている手でそっと私の頬を撫でた。
「今のが、菊のイイところってヤツだ。しっかり覚えておけよ」
言うが早いか指がじゅるりと引き抜かれ、ローションにまみれたアーサーさんの先端が私の秘部に押し当てられる。
初めて目の当たりにしたアーサーさんの雄を見て、流石に腰が引けてしまった。
「ちょ、なんですかソレ! そ、そんなの入らないですよ……っ」
「今更何言ってんだよ。大丈夫! 直ぐに慣れるから」
「……絶対そんな事有り得な……っ」
一体何が大丈夫なのか。逃げられないように両足を掴まれアーサーさんがググッと押し入って来る。
足を抱え込むようにして腰が浮き、ゆっくりとアーサーさんが身体を倒して来た。