No title
(アーサーside)
チクショウ。菊がいきなり妙なこと言い出すから、思いっきり意識しちまったじゃねぇか。
大きな溜息を吐くと、お湯がちゃぷんと小さな水音を立てた。
見上げれば、空にはいつの間にか満天の星。お湯に照らし出された満月の青白い光と立ち上る湯気が幻想的な景色を作りだしている。
菊の家にある露天風呂に浸かっていると何となく落ち着く。
そういや、ここで初めて風呂に入ったときに河童たちがいたんだよな。
今頃あいつら何をやってるんだろう?
もう一度会いたいなぁ。会って日本のこともっと色々教えて貰いたいのに……。
「アーサーさん、お湯加減いかがですか? 着替え、ここに置いておきますから」
入口の方から声がして、うっすらと菊のシルエットが見える。
どうせなら一緒に風呂にはいろうぜ! と、言いたいけれど、喉元まで出かかっている言葉が上手く出てこない。
裸が見たいなんて、なんか変態っぽくてドン引きされちまいそうだ。菊の前では紳士的に振舞わないとな。
でも、風呂の中で菊にあんなコトやこんなコトしてぇな……。
さんざん焦らして、菊の口からエロいセリフを言わせてやりたい。
絹のように滑らかな肌に俺の所有の証を沢山付けたら、さぞかし似合うだろう。
俺の自慢のビックベンで菊をガンガン突きまくって無茶苦茶喘がせてやるんだ。
あの綺麗な顔にぶっかけてやるのもいいな。
やべぇ、想像してたら、なんかすげぇ興奮してきた。
こんな事、菊の家でしちゃマズイとは思うけれど、昂った熱を鎮めないと風呂から出られねぇ。
自然に手は下半身に伸びて、熱く猛った自身に指が絡む。
俺の手の動きに合わせて、ちゃぷちゃぷとお湯が跳ね音を立てる。日常にいやらしいものを持ち込んでしまったような背徳感はあるけれど、一度始まった妄想は止めることが出来ない。
はぁはぁと荒い息が静かな空間に木霊して、それが余計に興奮を煽ってゆく。
現実では中々出来る事じゃない。何となく菊は汚しちゃいけない気がして、手が出せない。
俺がこんな事考えてるなんて知ったら、あいつはどう思うんだろうな?
キスはしたけど、あれも俺が我慢できずに無理やりしたって感じだったし……。
あのあと、絶対嫌われちまった! って、思ったのに何故か今でも菊は俺との関係を続けてくれている。
だからこれ以上嫌われるようなことはしたくない。だけど、無茶苦茶に啼かせてやりたいと思っているのも事実。
あの綺麗な童顔が快感に歪んで、俺に縋り付く姿を想像すると堪らねぇ。
「はぁはぁ……菊、菊……っ」
実際に手が出せないのはわかっているから……妄想の中でだけなら――。