No title
「そんなに、キスして欲しかったのか?」
「ち、ちが……っ馬鹿な事言ってないで、早く支度してください!」
「残念だったな。今日からオレ自由登校なんだよ。単位も十分取れてるし行く必要ねぇの」
「〜〜っ。いいっすね〜、三年って余裕で」
嫌味を言いながらもテレビから聞きなれた音楽が流れて来ると高尾の意識は自然とそっちへ向いてしまう。
「へ〜、今日の蟹座は一位か……ラッキーアイテムが猫のぬいぐるみね、ふはっ真ちゃん持ってくるんだろうな。可愛い〜」
コイツ、占いとか興味ねぇくせに毎日蟹座だけチェックしやがる。
つか、普通自分の星座だけ見るだろ。人の星座チェックするとかどんだけだよ。
高尾の緑間信仰は今に始まった事じゃない。だけど、動きを止めてまで蟹座をガン見するコイツの姿に僅かな苛立ちを覚える。
「んじゃ、そろそろ俺も行く準備してこーかな」
「……やっぱオレも行こうかな。ガッコ……でも、その前に――」
「え? ぅ、わ――っ」
立ち上がって、部屋に行こうとする高尾の腕を引いて呼び止めた。
そのままカーペットの上に押し倒すと、ぎょっとしたようにオレを睨みつけてくる。
「ちょっ、何やって……っ!」
「何って、この体勢ですることつったら一つだろ?」
「わ、いや、いやいやいやっ! 俺、準備が――ん……、ふっ……」
全てを言い終える前に唇を塞いで言葉を奪う。唇を深く重ねて舌を絡めとる。
同時に、制服の上から胸に触れると高尾の身体がびくりと跳ねた。
「あっ……」
身体を捩ってオレの下から抜け出そうとするが、腰をしっかり抱いているためにそれはかなわない。
「……さっきシたばっかなのに……」
「続けてスる場合は六時間以上あけましょうってか? オレは薬じゃねぇっつーの!」
オレの言葉に若干の不機嫌さが滲み出ていたようで、高尾の表情に困惑の色が滲む。
「あっ、あっ! 宮地さ……っん、俺、まだ準備とか終わってなくて……あんっ」
「んなもん五分もあれば出来んだろ。後にしろよ」
「そんな……ふっあっ」
いくら拒否的な言葉を言ったって身体は正直だ。拒む高尾を押さえ付け、ズボンと下着を一気に引き摺り下ろす。
体内にさっきオレが出したのが残ってたから簡単に指が入り込んだ。広げたり掻き回したりすると中からとろりと漏れてきて、くちゅくちゅといやらしい音がする。
「あっ、あっ。んん……っ」
オレの手によって高尾の身体が蕩けて行く。
自分でも浅ましい独占欲だって事くらいわかってる。
どんだけコイツに惚れてるんだって話だが、わかってても止められない。
自分が、こんなに独占欲が強いなんて知らなかった。
「もっとオレに溺れろよ……オレ以外何も見えなくなるくらいに」
「な、何言って……ぁあ――っ」
いくら貪っても足りない。このままずっとオレの腕の中に閉じ込めてしまいたい。
何度も高尾の身体を抱きしめながらそう願わずにはいられなかった。