No title
目が覚めると、キッチンから仄かにいい香りが漂っていた。
高尾と同棲を始めて早数ヶ月。アイツは毎日オレより先に起きて立派な朝食を用意してくれている。
本当に、アイツがいてくれて良かった。素直に口に出したことは無いが、心の中では常々そう思っている。
そっと扉を開けると、案の定見慣れた制服姿にブルーのエプロンを付けた高尾が鼻歌を歌いながら料理を作っている姿が見えた。
「あ、はよーっす。まだ早いから寝ててもよかったんっすよ?」
俺、起こしちゃった? と、オレの方を振り向きもせず高尾が言う。
相変わらず無駄に視野が広い。
「いや。いい匂いがして目が覚めただけだから」
肩に顎を乗せながら覗き込むと高尾の身体が小さく跳ねた。
「……随分と美味そうだな……」
「いつもと変わんないって。今日の味噌汁は豆腐とワカメ――」
「――お前が」
「……えっ? ぁっ」
耳元で囁いてやると、ギョッとしたように顔を上げた。その唇にキスをする。高尾は湯気でも出るのではないかと思うほど真っ赤になってしまった。
そんな反応が面白くて、スルリとエプロンの隙間から手を入れ身体を弄ってやると、途端に包丁を持つ手が止まってしまう。
「ちょ、宮地さ……っ」
シャツの中に手を差込み、薄い胸板を弄りながら首筋に舌を這わせてやると鼻から抜けるような吐息を洩らしながらビクビクと小さく身体を震わせる。
「ん……っ、あっ、何処さわって……」
「どうした? ネギを切る手が止まっているぞ」
「……んっ、は……」
もぞもぞと腰を押し付けるように動かし始めた高尾が何か言いたげに熱っぽく潤んだ瞳をこちらに向けてくる。
「料理の続き、しなくてもいいのか?」
「……っ」
言いながらズボンの中に手を入れ早くも自己主張を始めたソレに手を添え、そのまま緩く扱いてやる。
「ん……ぁ……っや、あっあっ」
熱い自身からは先走りが溢れ俺の手と下着をしとどに濡らしてゆく。
空いている方の手で敏感になった胸の飾りを摘まむと、高尾は身体を震わせあられもない声を上げた。