No title
「随分長いトイレだったな。う○こか?」
宮地さんと少し時間をずらして図書室に戻った俺に向けられた第一声がこれだった。
「うっわ、真ちゃんが下品な事言った! つか、ちげーし!」
じゃぁなんだ? と聞かれたらそれは答えられないけれど、勘違いされるのだけは困る。
「俺、狭い場所じゃなきゃ集中出来ないタチなんだよ。 ほら、精神集中ってやつ」
「そうだったのか? だが、お前この間部屋よりリビングの方が勉強が捗ると自分で言っていたのだよ」
チッ、そういう事はよく覚えていらっしゃる。
「なんだ、高尾〜。お前、う○こだったのか!」
「……宮地さん、いい加減にしないと俺、マジでキレますよ?」
一人事情を知っている宮地さんがくっくっくと腹を抱えながら便乗してきて、こめかみの血管がヒクつく。
「つか、誰のせいだと思ってるんっすか!」
「さぁな」
「……マジ、あんた性格悪っ」
「あっはっは〜。褒め言葉として受け取ってやるよ」
ニヤニヤと笑う宮地さんを睨んでも効果はない。
あぁ、もう。なんか頭痛がしてきた。
「高尾。わからんところがあったら教えてやるぞ?」
「……絶対に、宮地さんには聞きませんからっ!!」
ニヤニヤと笑い続ける宮地さんの横で、俺はもう二度と宮地さんの隣には座るまいと誓った。