No title

「おい、宮地〜。お前英語得意だったろ?」

その時不意に、向かいの机に座っていた木村さんが俺たちに背を向けたまま口を開いた。あっさりと宮地さんは俺から身体を離し、二人の間に距離が出来る。

木村さんが問題集を持って側に来た時には、宮地さんは既に俺との事なんて微塵も無かったかのように何時もの表情で彼と向き合っていた。

「どうした、木村。どこかわかんねぇとこあんのか?」

なんて、平然と言ってのける……宮地さん怖ぇえ。

態度がコロコロ変わるのは知ってたけど、ここまで鮮やかだと流石に凄いとしか言い様がない。

でも、これはある意味チャンスかもしれない。

「お、俺ちょっとトイレ……っ!」

慌てて椅子から立ち上がり、その場を逃げ出した。

あのまま図書室にいたら絶対あそこでイかされてしまう。そんな羞恥プレイだけは絶対にゴメンだ。

ずんずんと廊下を進んでいって人気がなくなった辺りで足を止める。周囲に誰もいないのを確認しトイレのドアを開けた。

旧校舎の一番奥にある、古いトイレだ。あまりにも古くて薄暗いので普段は誰も近づく事はない。

ここなら大丈夫だろうと踏んで、大きく息を吐く。

「はぁ……」

全く、何考えてんだよあの人。

真ちゃん達にバレたらどうしてくれるんだ。

「高尾、いるんだろ?」

「――ッ!」

深呼吸をしていたらドアの向こうから声がして俺は数センチ飛び上がった。

「な、んで?」

ここに俺がいるってわかったんだ?

「ばーか。律儀に上履き脱いで外に置いてあれば誰だってわかるっつーの」

「あ……」

俺ってスゲー間抜け。

「よっぽどテンパってたんだな、お前」

クックックと肩を震わせながら笑われてカッと頬が熱くなった。

「つか! 宮地さんのせいじゃないっすか!」

「わかってる、だからセキニンとってお前を気持ちよくしてやるよ」

言うが早いかドアに手を突き、尻を突き出すような格好にさせられた。身を捩って抵抗しようとしたけれど、覆いかぶさるようにしながら宮地さんの手が服の中に滑り込んでくる。

「ンッ……」

宮地さんの唇が首筋に触れ、痕がつきそうな位きつく吸い付く。それが緩んだかと思えば、今度は固くした舌先で突くように擽られ、俺の身体はびくりと跳ねた。

「ほら、舐めろ」

「……ッ」

半ば強引に口の中へ宮地さんの指が滑り込んでくる。

「歯は立てんなよ。オレの指噛みやがったら素っ裸にして校庭ランニングさせっぞ」

乱暴な声が降ってきて、含まされた指先が俺の歯列をぬるぬると撫でた。硬い爪先の感触にぞくりと腰が疼いて興奮を覚える。

「……ンッ」

「腰揺らして……本当はシて欲しくてたまんないって顔してる」

口の中の指を引き抜き、唾液の絡んだ指で唇をヌルヌルと撫でながら耳元で甘い吐息混じりに囁かれた。

「ち、ちがっ」

「違わないだろ。身体は正直だよなぁ」

クックックと意地悪な笑みを浮かべ、ズボンの中に大きな手が下着の中へと潜り込んでくる。尻の割れ目を長い指先が辿り、もどかしくて疼いて仕方がないソコに触れた。

「ふ、――ぅんッ」

「熱いな……。簡単に呑み込みそうじゃん」

試すように数回押したあと、たっぷりと唾液のついた指先がグッと潜り込んでくる。

「ん、んん……っ」

もうすっかり宮地さんとの行為に慣れきってしまった身体は、すんなりと宮地さんの指を受け入れ、内部を掻き回されるたびに期待で胸が踊る。

指がぐるりと回されて息が詰まった。中で複数の指がバラバラに動き、それが一点に触れた瞬間――。


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