No title

静かな室内にカリカリっとシャーペンを走らせる音が響き渡る。

真ちゃんの綺麗な指先から、真っ白なノートに文字が刻まれていくのを俺はぼんやりと眺めていた。真ちゃんって、凄く綺麗な字を書くんだよな。

ほんと、几帳面って感じ。

真ちゃんって、睫毛なげー。目を伏せていると特にそう思う。

――かっこいいなぁ……。

見蕩れていると不意に背後から気配がした。

それに気付いたのとほぼ同時、腰のあたりに腕が絡みついてきて俺はピキッと凍りついた。

振り向かなくてもわかる。俺にこんなちょっかいをかけてくる人物なんて一人しかいない。

「何処見てんだ? 高尾」

「宮地さん」

悪戯に頬を撫でながら肩に沿うような形で顎が乗る。

「全然集中してないみたいだな。緑間ばっか見てないで、わかんないとこあるならオレに聞けよ。特別に教えてやるから」

「宮地さんに聞いたら、余計わかんなくなりそうっす」

「へぇ、んなこと言っていいのか?」

耳元で熱い声に囁かれゾクッとなった。嫌な予感がして、身体を捻って離れようとしたけれど宮地さんの力が思ったよりも強くて逃れられない。

なんとか引き離そうともがいていると、あろうことか宮地さんの手がするすると学ランの下から潜り込んできた。

「ちょっ! 宮地さん……っ!?」

「シーッ。図書室では静かに、だろ」

叱るように宮地さんの手がシャツの上から乳首をキュッとひねる。

「ンッ……ぁっ」

信じらんねぇこの人。俺のすぐ向かい側には真ちゃんがいて、テーブルこそ違うけど同じ室内に大坪さんや木村さんもいるのに!

「バレたら困るよな? だったら、声出すなよ」

宮地さんは意地悪く笑いながら耳元でそう囁き当たり前のように俺の隣に座る。

強く摘まれて尖りだした乳首の上を爪で掻くように刺激され、布越しの焦れったい感覚に堪らず腰が疼いた。

俺の視界に真ちゃんの姿が映り込み一際鼓動が大きく跳ねる。幸か不幸か俺が今大変な事になっているとは気付いていないようだ。

耳たぶにやんわりと歯を立てられて、尖らせた舌が耳の中に潜り込んでくる。

クチュクチュと響く生々しい水音に腰が痺れ背筋がゾクゾクと震える。

「ひ……ぁっ、……ん、んっ」

ダメだ、声……我慢しないと……。こんな静かな室内では息をするだけでも気付かれてしまいそうで、俺は声を洩らさないようにするのが精一杯。

とても勉強どころの話じゃない。

シャーペンを持っている手が震え、唇を強く噛んだ。


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