No title
戸惑う伊月を余所に、日向はさっさとベッドから降りてさっき蹴り飛ばした炬燵を元の位置に戻すと、潜り込んで伊月に背を向ける。
「……日向、本当にもう、終わりなのか?」
「あぁ。お前がシたくねぇ事強制してもつまらないし」
「オ、オレは別に、シたくないなんて一言も……」
もごもごと口籠る伊月の気配を感じて、日向は思わず苦笑してしまう。
「お前も早く寝ろよ。明日も練習あるんだから」
それだけ言うと、日向は枕を引き寄せて目を閉じた。
「……」
「……」
薄暗い部屋に、時計の音だけが響き渡る。冴えわたっていた意識も炬燵の魔力には勝てずうつらうつらし始めた頃、背後でごそごそと音がした。ふと頭上に影が差す。薄目を開けて確認すると、伊月が今にも泣きそうな顔をしてこちらを覗き込んでいた。
「……なぁ日向、寝たのか?」
「……」
「オレ、別に嫌だったわけじゃ……。ただ、は、初めてだから恥ずかしくて……」
「……」
「キスも気持ちよかったし……そのっ、触られるのもドキドキしておかしくなりそうで……全然、嫌じゃなか――っ」
伊月がすべてを言い終える前に、腕を伸ばして引き寄せた。不意打ちを食らって胸の上に倒れ込んできた伊月をぎゅぅっと抱きしめる。
「っ、伊月お前可愛すぎなんだよっ!」
「――っずるい! 起きてたのか」
抗議しようとする頬を両手で挟み髪に、こめかみに、瞼に何度もキスをする。
「お前が欲しい、伊月……」
真っ直ぐに目を見て囁くと、伊月は頬を赤らめながら素直に頷いた。
照れた仕草が堪らなく愛しくて幾度となく唇を重ね、舌同士がぶつかれば甘く噛んできつく吸い付く。
「ん……ふ……っ」
布の上からぷくりと勃ち上がった突起をそっとなぞると伊月の身体がぴくんと跳ねる。
そのまま体勢を入れ替えてカーペットの上に押し倒すと伊月のズボンを下着ごと足から抜いた。
既に蜜を滲ませ始めていたそれを躊躇いもなく口に含むと、伊月の腰が大袈裟に震え舌でぐるりとなぞると口の中に伊月の体液が広がった。
「あ、や……っ」
表情は薄暗くてよくわからないが、切ない溜息のような喘ぎが伊月の口から洩れる。
日向に口で愛撫されていることに興奮しているのだろう。透明な体液が止まる事を知らずに後から後から漏れてきて苦みが口の中に広がってゆく。