No title

「――伊月、好きだ」
突然、真顔でそう告げられ、伊月は驚いて顔を上げた。
「ほ、本当か?」
俯き表情はよくわからないが、小さくコクリと頷く。
嬉しかった。しかし、同時に夢かもしれないとも思った。
夢ならこのまま醒めないで欲しい。
中学で一緒にバスケをしていた頃から、ずっと彼のことを思い続けていたのだ。
最初は単純に憧れに近い感情だった。
バスケをしている日向は輝いて見えたし、そんな彼にパスを出す瞬間が何よりも楽しく幸せに思えた。
自分や周囲の実力が足りなくて、高校はバスケ部が無い学校へ行くと告げられた時には真剣に悩んだりもしたが、木吉のお蔭で今は再び彼とバスケ三昧の生活を送ることが出来ている。
憧れが恋心へと変わるのにそう時間はかからなかった。
もしも、日向が自分と同じ気持ちでいてくれていたと言うなら、こんな幸せなことは無い。
「オレも」
言った途端に抱きしめられた。そろそろと腕を伸ばし、肩に腕を回す。
日向が、熱っぽい瞳でこちらをジッと見つめている。その視線だけで胸が高鳴り、どうしようもなく息が上がってしまう。
だんだんと顔が近づき、そっと唇を重ね合わせた。
何度も舌を絡ませ、見つめ合う。
「ひ、日向――」
衣擦れの音が妙に艶かしく、耳に残る。
キスをしながらシャツを捲くりあげ、小さな蕾を指で摘ままれ、たまらず身体がビクリと跳ねた。
「ん、ぁっ」
思わず声を上げてしまいそうになり慌てて口を手で押さえる、
そんな反応を日向が心底楽しそうに見つめ、胸元に唇が寄せられる。
熱い舌が胸の飾りに吸い付くのとほぼ同時。いつの間にか伸びて来た片方の指先が性器に絡んだ。
ハッと息を呑み見上げると熱い瞳が自分をジッと見下ろしていて……。
「伊月、お前を抱きたい」
「!」
熱っぽい声で囁かれ、息が止まりそうになった。
いいのか? と、胸に吸い付きながら尋ねられると返答に困る。
「そんな恥ずかしい事聞くなよ!」

なんて言いながら抵抗する素振りはない。寧ろ、嫌じゃない。
頬を真っ赤に染めながら、OKの代わりに自分から日向を引き寄せて背中に腕を回した。
「いいから……シてくれよ」
そっと、耳元に囁いたその瞬間――。


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