日向SIDE

カーテンの隙間からうっすらと月明かりが差し込む暗がりの中、幾度となく唇を合わせる。
伊月に抵抗する素振りはない。
さっき、体に触れたらくすぐったいと言っていたよな。
男同士のやり方なんて知らないし、どこをどう触れば伊月が感じるかなんてわかんねぇ。
だったら――。
「んっ、ぁっ」
キスをしながら伊月の下肢に触れる。
ズボンの上から形を確かめるようになぞると伊月の体がびくりと小さく跳ねた。
既に熱く猛っているソレを布越しに掴んで擦ってやると、切なげに眉をよせ溜息のような喘ぎが伊月の口からこぼれる。
いつも一人でヤってる時はこんな顔をするのだろうか? 
そう思ったら、堪らなく興奮を煽られた。
既に先走りで湿った下着のなかに手を差し込み扱いてやると、先端から体液が溢れて来てクチクチと濡れた音を立てた。
「ぁっ、んんっ日向、ソコばっか……触ん……なっ……!」
「ん? おぉ、そうか悪い」
しがみついて小さく抗議する。こめかみに軽くキスをして、頬、顎、喉元へと唇を滑らせた。
片方の手で扱きながら肌に触れると、くすぐったがる様子もない。
なるほど、一緒に触ってやれば良かったのか。
シャツを胸元までたくし上げピンと尖った胸の飾りを指で摘まむ。
「は、んん……ぅっ」
空いた手で扱きながら、胸元を唇で挟んで舐めたり吸ったりしてやると、声を抑えきれなくなってきたのか伊月が手の甲を口元にあて小さ

く身じろぎをする。
その姿が妙にエロく見えて、余計に興奮を煽られた。
やべ……マジで抱きたい――。
湧き出る泉のように溢れている鈴口に爪を立て少し強めの刺激を与えると伊月の体が一際大きくのけ反った。
息を詰めるのとほぼ同時に、俺の手の中に生暖かいものが迸る。
「も、馬鹿……っなんで、見てるんだよ」
「伊月がすげぇ可愛いから」
「ふざけんな。もー、オレだけイっちゃったじゃないか……」
生理的に潤んだ瞳が真っ直ぐに俺を捉え、伸びてきた腕に頬を挟まれた。
「日向と一緒にイきたかったのに」
「……っ、俺はいいんだよダアホっ。誕生日に無理させられるか!」
「オレが良くないの!」
「っ!」
伊月は頑固だ。自分がこうだ! と思ったら中々意見を曲げることがない。
俺だって伊月としたい。だけど今この状況で、どっちが負担が多いかつったら確実に伊月の方だ。
そんな俺の迷いを嘲笑うかのように、伊月は言葉を続ける。
「オレ、ずっと待ってたんだ。日向とこういう事したいって。だけど、やっぱり怖いしさ……オレだって男じゃん? 自分から抱いてほし

いとかそんな恥ずかしい事言えるわけが無いし……。日向は? 何もしたくない?」
「――っかやろっ。したくねぇわけねぇだろうがっ!」
俺だってずっとこうなることを望んでたんだ。何もしたくねぇわけがない。
「じゃぁいいじゃないか。一生忘れられない誕生日にしてくれるんだろ?」
「こんだけ煽ったんだから、後で文句言うなよ伊月」
「言わないって」
俺の迷いも理性も全部吹き飛ばすかのように伊月が笑いながらキスをくれる。背中に回った白い腕に引き寄せられるように二人の距離が縮

まってゆく。そして――。
「ンっ、……ふっ……」
唾液で濡らした指を宛がいケツに触れる。もっとガチガチに固いかと思っていたソコは思った以上に柔らかく、簡単に俺の指を呑み込んで

しまう。
「伊月……お前もしかしてコッチの経験あんのか?」
「あ、あるわけないだろバカッ」
「いやでも、こんなに柔らかいもんか?」
「それは……ッ」
「それは?」
言葉に詰まった伊月の顔を思わず覗き込む。
「……風呂で……自分で……解したから……」
「!?」
「ひ、日向が言ったんだろ! 続きは皆が寝てからって……だからその……もしかしたらって思って……」
どんどん語尾が小さくなって、最後は蚊が鳴くような消え入りそうな声になってしまった。
成る程。準備万端だったってわけかよ。
覚悟が足りねぇのは俺の方だったってわけか。
つか、その姿見て見たかったな。
「じゃぁ、無理そうならちゃんと言えよ?」
伊月ガコクリと頷いたのを確認し、位置を合わせる。ガチガチで既に痛みすら覚える程になっている俺のジュニアを宛がい、腰を掴んで先

端を少しずつ内部へと押し進める。
「っ、ん……く、ぅっ」
くぐもった声と共に、伊月の顔が切なげに歪む。
指なら容易く入ったのに、サイズが違うせいか締め付けがかなりきつい。
「きっつ」
「ん、……オレも」
「! 悪い。やっぱりやめ――」
「止めなくていいってば!」
慌てて体を起こそうとしたのを、背中に回った腕に静止された。
「でも、」
「オレなら大丈夫だから。それに……今、止められる方が正直言ってツラいから」
苦笑しながらひやりと冷たい指先が俺の頬を撫でる。
「日向だってツラそうな顔してるぞ?」
「結構、我慢してっから……でも、お前とこういう事出来るっつ〜ことが幸せすぎて、こんなのツラいうちに入んねぇよ」
汗で張り付いたサラサラの前髪を指で掬って撫でながら、中々言えない本音を口にする。
「そんなの、オレだって一緒だ。日向とやっと一つになれるんだから、こんなの全然平気だって」
痛みを堪えてはにかむその表情に胸が痺れる。
「――伊月ッ」
指と指を絡めて、見つめあいながら体を進ませる。
「ふ、あ……あんっ……んくっ……ッああっ――!」
一気に奥へと腰を打ち付け下腹部が触れ合った瞬間、伊月が目じりに生理的な涙を滲ませながら微笑んだ。
その姿にクラリと軽い眩暈を覚える。
「日向ぁ、どうしようオレ……幸せ過ぎて死んじゃいそう」
初めてだから優しくしてやりたいとか、色々考えてたのに理性が持ちそうにない。
「っ、あんま可愛い事言うなダアホッ!」
「……ぁあッ!」
無茶苦茶にしてやりたい衝動に駆られて、伊月の体を貪るように腰を打ち付けた。
「あっ、ぁあッ! や、……んんッ」
突き上げる度に伊月の口から洩れる嬌声や、衣擦れの音、甘い吐息。全てが興奮を煽ってゆく。
もう、何も考えられない。――ただひたすら欲望のままに夢中になって突き上げた。


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