No title

「なぁ、真ちゃん。男同士でヤんのって、やっぱ痛いのかな?」
「ぶっ、ゲホッ、ゲホッ」
夏の日差しも和らいで、爽やかな秋風が頬を撫でる心地よい昼休み。
何時ものごとく屋上に出て、二人で弁当を食べていると突然高尾がそう呟いた。
「な、なっ……!?」
「うはははは! すっげー顔!」
平和な昼食時に全く似つかわしくない会話に思わず絶句していると、それを見た高尾が指をさして爆笑する。
「高尾……」
「んな睨むなって。せっかくの美人さんが台無しだぜ?」
「……」
からかい交じりの声に苛立ちは大きくなるばかりだ。そもそも、可笑しな話題を振ってきたのはそっちじゃないか!
「で? 真ちゃんはどう思う?」
「知らん!」
「だよなー……」
最近、ずっと思い続けてきた宮地と両想いになったらしい高尾は、幸せ絶頂なのか時々可笑しなことを言っては緑間を困らせている。
本気で悩んでいるのか、ただ単に緑間の反応を見て面白がっているのは定かではないが、正直言って迷惑この上なよい。
「そういう事は、宮地さんに聞けばいいだろう」
「聞けるわけねぇっつーの!!」
「では、実際に試してみればいいだけの話なのだよ。破廉恥な話題を昼食中にするな! 馬鹿め」
「うはwww 破廉恥ってwwwつか、実際に試せっつっても心の準備ってもんがさ〜……」
「……心の準備? お前らしくないな」
「真ちゃんひっでー」
高尾がそんなに慎重派だとは思わなかった。もっと、後先考えずに行動するものだと思っていたのだが。
高尾は、母親お手製の弁当をすべて平らげ、購買部で購入した菓子パンの袋を開けながら小さく溜息を吐く。
「だってさ、童貞捨てんのとわけが違うじゃん? バックバージンだぜ? 痛いのはやっぱカンベンだしさ〜」
「では、しなければいいだけの話だ」
「うっはw 極論すぎっしょ、それ」
じゃぁ、自分にどう言って欲しいのだろうか? 男性との関係なんて自分にわかるわけがない。
「結局、お前はどうしたいのだよ」
「んー、宮地さんとエッチしたい」
「……」
パンに齧りつきながら、ほんのりと頬を染める。 高尾のこんな表情は見たことがない。
きっと、宮地は自分の知らない高尾の表情や仕草を沢山見たりしているのだろう。
なんとなく複雑な気分だ。
「つか、ごめんな変な話して」
「全くだ。いい迷惑なのだよ」
「よく考えたら、非リア充の真ちゃんに聞いたってわかるわけねーもんな。今度黒子にでも聞いてみるわ」
「……死ね!!」
バシッと、高尾の頭をはたくのとほぼ同じタイミングで、昼休み終了のチャイムが鳴り響いた。


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