No title

「悪いな緑間。タイムリミットだ」
肩に腕が回り、真ちゃんとの間に宮地さんが割り込んで来る。
「コイツは返してもらうからな。他の店に行きたきゃ木村と行って来いよ。あいつまだまだ遊び足りねぇってさ」
「えっ? ちょっ、宮地さん?」
言うが早いか腕を引かれ、唖然とする真ちゃんたちをゲーセンに残したまま半ば引きずられるようにして店の外まで連れ出される。
「痛いっすよ、宮地さん。いきなりどーしたんっすか?」
「いきなりでもねぇだろ。いつまで緑間のワガママに付き合うつもりだ、お前は。たく、いちゃいちゃしやがって」
不機嫌そうに言われて、なんだかカチンときた。
「は? 別にイチャイチャなんてしてねーし。それに、宮地さんだって可愛い女の子に囲まれて楽しそうにしてたじゃないっすか。俺が真ちゃんと楽しそうにしてたって、とやかく言われる筋合いはないっすよ。……大体、先に木村さんとワイワイ騒いでたのはどっちだと……」
言ってしまってから、何かが違うと思った。
これじゃまるで、俺が女の子や木村サンにヤキモチ妬いてるみたいじゃないか。
俺以外の人間と仲良くしてる姿を見て嫌な思いをするなんて、いつから俺は、こんなにも独占欲が強くなったんだろう?
痴話喧嘩のような状態に思わず狼狽えてしまう。
宮地さんは一瞬驚いた顔をしたが、直ぐに表情を崩した。
「来いよ」
手首を掴まれ、ひやりとした手が重なる。
「遅くなっちまったけど、今から仕切り直し。な」
「!」
ふっと笑みを浮かべる宮地さんの姿を見て、咄嗟に声が出なかった。
握られた手から宮地さんの温もりが伝わってくるようで、鼓動がどんどん速くなっていく。



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