No title

それから数日後。俺の不安はどうやら杞憂だったようで、その後真ちゃんから追求されるようなこともなく、普段どうりに当日を迎えることが出来た。
今日はいつもどうり部活を終えたあと、一旦家に戻ってから待ち合わせ場所に行く算段になっている。
ところが――。

「――遅いのだよ。高尾」
いざ、待ち合わせ場所に着いてみれば宮地さんの横に、シックな私服に身を包んだ真ちゃんが何故か腕組をして立っていた。
おまけに、ついさっき別れたばかりの木村サンの姿まである。
「えっ? ちょっ、なんっ? ……宮地さん、この状況は一体?」
「俺が聞きたいっつーの! 木村は面白がってついてきやがっただけだ。 緑間はお前がうっかりバラしたんじゃねぇの?」
「ちがっ、俺は何も……。真ちゃんなんでココにいるんだよ。オレ、今日は無理だって言ったよな?」
確かにこの間、無理だとハッキリ言ったはずだ。
「俺は偶然通りかかっただけなのだよ」
メガネを押上げいかにも胡散臭い言い訳をする。
「ぜってー嘘だろ! つか、偶然って、お前ん家こっから遠いだろっ」
有り得ないだろ、マジで……。
「……フン。人事を尽くした結果だ」
「なんの人事だよそれ!?」
「安心しろ。お前らの邪魔はしない。宮地さんがおかしな事をしないか見張っているだけだから、俺のことは気にするな」
「意味わかんねぇし、気になるだろフツウ」
「まぁまぁ。いいじゃねぇか緑間だって暇してたんだろ。せっかく集まったんだし彼女いないもん同士ぱあっと遊ぼうぜ! それともなにか? そんなに宮地と二人きりになりたかったのかオマエ」
がっくりと項垂れた俺の肩を木村さんがニヤニヤしながら叩く。
「ち、ちがっ! そういうわけじゃ……」
確かに“二人きりで会う“とは、一言も言われていない。ただ俺が、そう思い込んでただけだ。
「……宮地さんは、いいんっすか?」
「どうせ来んなつってもコイツらはついてくるんだろう? なんかもう、面倒くせーし……いいよ、もう 」
盛大な溜息を吐きながら、宮地さんが諦めにも似た声を出す。
嗚呼、俺の初めてのクリスマスデートの予定が……音を立てて崩れていく。


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