No title

「ちーっす!」
部室に行くとそこには誰も居なかった。
真ちゃんは、おは朝の結果が最悪だったらしく、今日は朝練に出ないと言っていたから仕方がないにしても、先輩達が誰も部室にいないなんて珍しい事だ。
もしかしたらもう既に練習を始めているのかもしれない。
特に宮地さんは真ちゃんに負けず劣らずな努力家だから、ありえない話じゃない。
宮地さんって、すげーよな。勉強も出来て、かっこよくて、おまけにスポーツも。なんて……。
でも、それでいて天狗になってるわけじゃなく、朝早くから夜遅くまで居残って練習して。
ほんとスゲーと思う。
そんなすげー人と、みんなに内緒で付き合ってんだって思うとなんだかくすぐったい。
「ん?」
にやけそうになる顔を押さえつつ、ふと宮地さんのロッカーに視線を向けると、ドアに何かリボンのようなものが挟まっているのが見えた。
もしかして、アイドルグッズの何かだろうか?
恐らく着替えた時にでも、リボンか何かがはみ出ていてそれに気づかずドアを締めてしまったんだろう。
このリボンの正体は一体なんなのだろう?
限定のカチューシャとか、そんなん? 宮地さんこっそり付けたりしてんのか?
やっべーそれウケる。てか、噴く。
思わず想像してしまい、込み上げてくる笑いを必死に堪えた。
もし、勝手に覗いたのがバレたら確実にシメられるだろうけど、でもすっげー気になる。
見たらすぐ片付けるし……。ちょっとだけなら……。
リボンの正体がどうしても知りたくて、恐る恐る宮地さんのロッカーに手を伸ばし、軽くリボンを引っ張ってみた。
すると、それにつられるようにして開いたドアの隙間から細長い箱が顔を覗かせた。
「……なんだ、コレ?」
なんで、こんなところに箱が?
可愛らしい薄い水色の包装紙に包まれたソレは誰かへのプレゼントなのだろうか。
まだ朝早いから、誰かに貰ったってセンは考えにくい。
宮地さんが誰かにプレゼントを……?
一体誰に? まさか、俺に内緒で他に彼女がいたりするのだろうか?
ふとそんな考えが頭をよぎり胸がざわめく。



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