No title

「あはは、でも……マジ良かったっす。嫌われてなくて」
「……まだお前の気持ち、聞いてねぇけど?」
「……っ」
「俺だって言ったんだから、お前の気持ちも聞かせろよ」
首に腕をかけたまま急に真顔になり、そう言われて言葉に詰まった。
促すように顔を覗き込まれて、なんとなく口元に笑みが浮かぶ。そっと手を握り軽く深呼吸を一つ。
ずっと、伝えたくて言い出せなかった思い。
もう隠したり躊躇う必要がないんだと思ったら、肩の力が抜けた。
「俺も……宮地さんが、好きです」
茶色がかった瞳を真っ直ぐに見つめながら。
「ずっと、好きでした」
言い終わるとほぼ同時に唇を奪われた。
力強い手で肩を引き寄せられ、唇に柔らかく濡れた舌が触れる。
「んっ……ん……っ」
自分に何が起きているのかわからないまま、ただ呆然とキスを受けていると薄く開いた唇に強引に舌が割り込んできた。
歯列をなぞられ、舌が絡め取られると体の芯がゾクリと震え、なんとも言えない熱いものがこみ上げてくる。
どうしよう、俺、宮地さんとキス……してる?
そう理解した瞬間ぶわっと羞恥心が沸き起こった。
「ん……っ」
顎をしっかりと固定され、角度を変えて幾度となく口づけが繰り返される。
ちゅくちゅくと濡れた音が室内に響きわたり余計に羞恥心が煽られた。
心臓が壊れてしまうんじゃないかと思うくらい物凄い速さで脈打っていて、息が出来ない。
 戸惑いながらキスを受けているとひんやりとした手が素肌に触れて、高尾はハッと我に返った。
「ち、ちょっ……宮地さんストップ!」
「……あ? んだよ」
慌てて宮地の胸を押し返すと、彼の眉間に深い皺が寄る。
「か、彼女さん。いるんっすよね?」
彼が自分のことを好意的に思ってくれていたことは素直に嬉しかった。けれど、宮地には彼女がいる。
「俺、間男になるのは嫌なんで……こう言うのは」
「彼女? あー、もう別れた」
「へっ!?」
予想外の返事が返ってきて思わず間の抜けた声が洩れた。
「嘘だと思うなら木村にでも聞いてみろよ。……今度な」
不適な笑みを浮かべながら、肩を押されラグの上に押し倒された。
その勢いでめくれたシャツをたくし上げられ、胸の飾りに指が触れる。
冷たい指の腹で掻くようにされて反射的に身体が震えた。
「ぁっ、ちょ……お、俺っまだ心の準備が」
「……なに処女みたいなこと言ってんだよ。んなもん必要ねぇだろ」
突っ張っていた手首を外され、熱い舌がつぅっとなぞった。それだけで背筋に妖しい痺れが沸き起こり息が詰まる。
「だ、ダメだって……」
「何がダメなのか、わかんねぇし……俺のこと好きなんだろ? 何も問題ねぇじゃん」
「そ、そうだけど……でも……いきなりこんな……」
キスだけでもドキドキが止まらなくて心臓がパンクしてしまいそうなのに、その先もだなんて……。
はっきり言って容量オーバーだ。
高尾だってしたくないワケではないけれど、戸惑いの方が大きくて身体に気持ちがついていっていない。
宮地は構わず手首を押さえつけたまま胸元に唇を寄せ、露わになった胸元にちゅっと吸いついた。
「ひぁ……っ」
言いようのない感覚にぞくりと身体を震わせ思わず小さな吐息が洩れてしまう。
吸われては、軽く歯を立てられ、ねっとりと舐められて神経が集中する。
「ん……っふぁ……っ」
どうしよう、このままじゃ流される……。
そう思ってぎゅっと目を瞑った矢先ーー。


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