No title

「違うってんならこっち向けよ」
「……ッ」
熱い掌に頬を撫でられて促されるように視線を落とすと、青峰が笑いをおさめてじっとこちらを見つめていた。その瞳には獰猛な光が浮かんでいる。
今にも喰われそうな熱い視線に耐えかねて堪らず目を逸らした火神を見て、青峰がにやりと笑った。
「火神」
青峰の声色が変化した。そこに甘い響きを感じて、身構えた火神の腕を青峰が引き寄せ、ベッドに押し倒す。
大きく息を呑んだ次の瞬間、青峰に唇を塞がれた。避ける暇もなかった。
「んっ、……ふっ、……あっ」
真上からのキスは自然と深くなり、舌が口腔内へと滑り込んでくる。歯列の付け根や頬の内側を舐められゾクリと甘い痺れが背筋を駆けた。
「っ、……ふ、はぁっ……」
グッと押し付けられた青峰の下腹部の存在にぎくりとして、唇を引きはがすと火神は腕の中から青峰を見上げた。
「き、今日はもうシねぇかんな!!」
「ハッ、俺に命令すんなよ」
「いや、マジ無理だから! あっ、馬鹿! 何処触っ」
拒む火神を押さえつけ、恐ろしく性的なニュアンスを含んだ指先が身体のラインを確かめるように腰を撫でまわす。
「ん……、あっ」
身体の中に先程青峰が放った体液が残っていたから、指が簡単に入り込んだ。広げたり掻き回されたりすると、中からとろりと洩れてきて、くちゅくちゅといやらしい音がする。
「ん、ふ……やめっ」
「んな事言っても、お前のココは嫌だって言ってないぜ?」
耳に息を吹き込むように欲に濡れた声が囁やき、下半身を撫でられる。徐々に反応を始めていたソレを握りこまれ、緩々と扱かれてゾクリと背筋が粟立った。
落ち着いていた筈の欲望が、青峰の手によって簡単に目覚め始める。皮膚が敏感になっていて、青峰が触れた個所が熱を帯びてゆく。
また、始まってしまう――。
「〜〜ッ、くそ、マジやめろって……言ってんのに!」
「だから、俺に命令すんなっつってんだろうが。つーか、まだイけんだろ」
グッと両足を割り開かれ、肩に担ぐような体勢で後孔に熱い塊が押し入ってくる。
「ん、ぁっ、あ、ふ……イけるか!! 馬鹿っ、ああっくそっ、今日の練習で腰立たなかったらお前のせい、だかんな!!!」
キッと睨み付けても、官能に潤んだ瞳ではその効果は半減してしまう。
「ハイハイ。じゃぁ俺のせいでいいから、もっと俺を楽しませろよ」
「ばっ、これ以上は……やっ、ふ、ぁああっ! 無理、ムリっああっ!!!!」
心底愉しそうに行為を続ける青峰。
早朝の静かな室内に火神の絶叫が響き渡るのだった。


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