No title

「ん……」
眩しくて目が覚めた。分厚いカーテンの隙間から眩い光が差し込んでいる。
重い瞼を擦りながら寝返りをうつと視界いっぱいに青峰の顔があって、一瞬誰だかわからずに火神は驚いて僅かに身を引いた。
息を顰めて様子を伺っていると規則正しい寝息が聞こえてくる。
結局あの後、覚えているだけでも二回求められた。気を失うように眠りについたのはつい先ほどの事だ。
(たくっ、ヤりすぎだっつーの!)
火神は溜息を吐きながら軋む身体を半ば無理やり起こした。だが、裸の腰に浅黒い腕が巻きついて、気だるげに引き寄せられる。
「青峰てめっ、起きてたのか!?」
ギョッとして視線を移すと、さっきまで閉じられていた瞳がジッとこちらを見つめていた。
ベッドの上では勿論青峰も裸で、腰から下は掛物で隠れているものの目のやり場に困ってしまう。
「どこ行くんだ?」
「汗かいたからシャワー浴びに行こうかと思ったんだよ」
「んなもん後にしろよ」
言いながらベッドの上で引き寄せられて、青峰が膝に擦り寄ってくる。
引き離そうと思っても腰に巻き付いた腕の力が思いのほか強くて引き離せない。
「暑いから離れろ馬鹿っ」
青峰が事後にこんなにべたべたしてくるのが好きだとは思わなかった。
もっとあっさりとしているかと思っていたのに、全然離してくれない。
「いいじゃねぇか。この方が落ち着くんだよ俺は」
「俺が落ち着かねぇんだよ!!」
「エロい事考えるからだろ」
「なっ!? ちげーよ馬鹿!!」
にやりと笑われカッと頬が熱くなった。
思わずムキになって否定した火神を見て青峰が可笑しそうに喉を鳴らす。
真っ赤になっているであろう顔を背けると、浅黒い手が伸びてきて頬に触れた。


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