No title

「高尾お前……隠し子がいたのか……」
「ぶはっ! ちょっ、いるわけねぇだろ! 冗談だって、冗談。つか、幾つん時の子だよそれ!」
あまりにもしみじみと言われて、もうツッコむ気も起きない。
ゲラゲラ笑う高尾に抱えられたまま宮地はなんでこんな目に遭うんだと深い溜息が洩れた。
「じゃぁ一体……」
「宮地さんだよ、宮地さん。 ほら、この目つきとか柔らかそうな髪とか、まんまじゃね?」
「宮地……さんだと!?」
「なんでか知らないけど小さくなっちまったんだよな〜」
「だから! てめぇが寄越した飴が原因に決まってんだろうが!!」
「飴? ……もしかして、アレを食べたのか?」
「え? あー、うん。宮地さんが喉痛いっつーからさ……どうした?」
ハッとしたように目を見開き、宮地をジッと見つめて考えるような素振りを見せる緑間に周囲の視線が一斉に集まる。
「真ちゃん?」
「……いや。なんでもないのだよ……ただ一つ言えるのは、こういう類のものは大抵持続性がない。今夜一晩休めば恐らく元に戻るだろう」
「……マジかよ。今日一日この姿ってか……」
緑間の言葉に愕然とし、宮地はがっくりと項垂れる。
「よし、お前ら! 取り敢えず宮地の件もまとまった事だし練習を再開するぞ!」
「ぜんっぜん纏まってねぇけど!? つか、俺は?」
「お前は今日は見学だ。その恰好じゃ何も出来んだろう」
「……マジか」
ワシワシと大きな掌で頭を撫でられ、いささかムッとしたものの一時的とはいえ戻れないと分かった今となっては諦めるしかない。
「じゃぁな、清志♪ 大人しくしとけよ」
ニヤニヤと笑いながら練習に戻っていく木村は何処か愉しそうだ。
「絶対戻ったらアイツから轢く! つか、高尾!お前も早く俺を下ろせっ!」
「えー? オレ、今日一日宮地さんと遊んでた「いいからさっさと行けよ、コノ馬鹿尾がっ!!!」
ゲシィッと小気味いい音が響き、股間を蹴り上げられた高尾が蹲る。
その隙に高尾の腕から逃げ出した宮地は盛大な渋々とベンチに座り本日幾度目かの溜息を吐いた。


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