No title

「ぶはっ! ちょっ! マジで宮地さんなんっすか!?」
「だからさっきからそう言ってんだろ! 埋めんぞコラ!」
「ブフォッ――アイタタッ」
ぐりぐりと足を思いっきり踏みつけられあまりの痛さに顔を顰める。
小さくなっても攻撃的な部分はかわらないらしい。
「おい、どうした高尾……なんだそのガキは。お前の子か?」
「ぶはっ大坪サン〜、オレまだ高校生っすよ? こんなでっかい子いるわけないっしょ」
「冗談じゃねぇぞ大坪! 誰が馬鹿尾のガキだ! ふざけんなっ」
「なんだよ、マジで宮地なのか? うっわ、ちっせーな」
騒ぎを聞きつけてやってきた木村と大坪が小さな宮地を見て顔を見合わせる。
「ちいせぇとか言うなボケ! とにかく、早く俺を元に戻しやがれ!!」
「元に戻せって言われても……そもそもなんでオレのせいなんっすか」
納得いかなくて口を尖らせると思いっきり顔面を足で蹴り飛ばされた。
「〜〜ってぇっ」
「てめぇが変な飴を俺に食わせたんだろうが!」
「……つーか、もしかして宮地さんノーパ「それ以上言うとケツにパイナップル突っ込むぞ!?」
ビキビキと額に怒りマークを貼り付かせ噛みつかんばかりの勢いだが何をやっても可愛く見えてしまう。
「ぶくくっ、宮地さんチョー可愛い」
「ふざけんなタコ! 可愛いわけねぇだろ! 早く俺を元に戻せ! 焼くぞコラッ」
「……随分と騒がしいようだが、一体何の騒ぎなのだよ」
あまりの可愛らしさにじたばたする宮地を抑え込んでぎゅーっと抱きしめていると、不意に輪の外側から声がした。
「あ、真ちゃん! なぁなぁ見ろよ。オレの子。可愛いだろ?」
「む?」
「っざけんなてめぇ! 誰がてめえの子だよ馬鹿! つか、下ろせ馬鹿っ」
どれだけ暴れても高校生の腕力に敵うはずもない。両脇をぐわしと掴まれた状態で緑間の目前に晒され、不安定な状態のまま宮地はその腕から何とか逃れようともがく。
木村や大坪も助けてくれればいいのに、突然降って湧いたこの状況を楽しんで(?)いるようで保護者のような瞳でやり取りを眺めている。
「……高尾の、子供だと?」
「そ♪ 清志って言うんだ」
「高尾……てめっ、いい加減にしろよ……」 
地を這うような低い声がしたが今ならちっとも怖くない。
小さいとむしろ、そんな暴言を吐く姿すら可愛く見えてしまうから不思議だ。
状況が上手く呑み込めていない緑間は、どういう事だとチビ宮地と高尾を見比べ眉を顰めた。


[prev next]

[bkm] [表紙]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -