No title

硬い……今まで何度か勢いで身体を重ねた事はあったけれど、こんなに硬くなったのを見たことが無い。

コレで……もし、一気に突き上げられたら……?

興奮状態の頭で擦っているうちに思考はだんだんと卑猥な妄想を描き始める。

「……っ」

「どうした? 思いっきり突っ込んでもらいたくなったのか?」

「ち、ちがっ!」

「あんまデカい声出すな。緑間に怪しまれんぞ」

くくっと笑いながら窓の景色を眺めている緑間を顎で指され、ハッと口を噤む。

その間にも宮地の手は扱くスピードを上げ、じわじわと高尾を追い詰めていく。

緑間がこちらを見た瞬間、敏感な部分を爪で掻かれ鼻から抜けるような声が洩れた。

「ん、ふ……っ」

「何か言ったか? 高尾」

相棒は全く気付いていない様子で顔を覗き込もうとしてくるから高尾はフルフルと首を横に振った。

「……顔が赤いのだよ。熱でもあるのか?」

(なんでこういう時に限って真ちゃんは優しくしようとするんだよ! いつものツンはどうした!)

今、そんな優しさは身体的にも精神的にも毒なだけだ。

自分がどんな顔をしているのか。考えるのも恐ろしい。

「……っ、な、なんでもない、つーのっ!」

鞄の下で何が行われているのか、緑間だけには絶対に知られないようにしなければ。スッと伸びてきた緑間の指先を避けるように僅かに身を引くと、どうしても後ろに居る宮地に身体を押し付けるような体勢になってしまったが今はソレを気にしている暇はない。

少し強めに言ってしまって、しまった! と、思った。

緑間は一瞬大きく目を見開き驚いたような表情をした後、「そうか……」とだけ呟いて行き場を無くした手で眼鏡をくいと押し上げ再び窓の外へと視線を移す。

「……っ」

せっかく緑間が珍しく心配してくれたと言うのに、なんて事だろう。

今のやり取りが面白かったのだろうか。密着した背中越しに、宮地が笑いを堪えて肩を震わせているのが伝わって来る。

(マジ、性格悪りぃ)

睨んでも効果がないのはわかっているから、高尾は肘で宮地を押した。

かなり強く脇腹を突くと、一瞬だけ宮地の腕が緩んだ。

しかしお返しとばかりに握り込んだ性器に爪を立てられ、思わず上げそうになった悲鳴を唇を噛んで耐える。

「もうグショグショじゃないか。こんな大勢の前で感じてんの? やっぱお前変態だな」

「……っ、だ、誰のせいだと……」

耳元で密やかに囁きかける声に怒鳴りたい気持ちをグッと堪え、睨みつけると宮地がククッと喉を鳴らした。

快感を煽るような指先に足がガクガクと震える。その様子を緑間がチラチラ見ているのがわかる。

もうダメだ、これ以上は耐えられない。緑間の視線にも、声を押し殺すのも限界だ。このままでは本当にこの場で達してしまうかもしれない。

自分たちが降りる予定の駅はあと6つ程先にある。この状況があと6駅分も続くかと思うと気が遠くなってしまう。

「――っみ、宮地さ……もぅ……止めて、下さい……」

「ん〜?」

「……は、……も、許して……」

そう訴える瞳には生理的に滲んだ涙が浮かんでいた。発した言葉は蚊の鳴くような小さいものだったけれど、身体を弄っていた宮地の動きがぴたりと止まる。

「お、俺……もう……」

「我慢出来ない?」

耳元でそう囁かれ、かぁっと頬が熱くなった。わかりきっている事を改めて口にされると恥ずかしくて居た堪れなくなる。



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