No title

「ちょっ! 宮地さんっ!?」

「デカい声出すな。周りに気付かれたくないだろう?」

「だって、ここ外……っ」

「お前が声出さなきゃ誰も気付かねぇよ」

「……ッ」

息を吹き込みながら耳たぶを甘く吸われた。そのまま熱い舌先が耳の中をぞろりと舐める。

「ぅ、ひゃ……っ」

「ここ、弱いよな。オマエ」

宮地の声が微かに熱を帯びた。胸を弄りながら、自然に逃げようとする頭を押さえつけられて思う存分熱い舌に翻弄される。

「あ、ぅ……んんっや……」

ちゅぷちゅぷと耳の中で響く水音が厭らしくて堪らない。洩れ出る自分の声よりもずっと卑猥に聞こえる。

精通は人より早い方だと自負していたけれど、耳を舐められて感じるなんて、宮地と付き合うまで知らなかった事だ。

そんな高尾の反応を愉しむように熱い掌が胸先を撫で回す。時折爪で掻くように胸の尖りを弄るのでその度に身体がビクンビクンと小さく跳ねた。

胸と耳を両方刺激されると甘い痺れが足に来て立っていられなくなってしまう。

耳から腰まで突き抜けるような強烈な痺れに翻弄され、腰が甘く疼いた。

「ん、はっ……あっぁっ、宮地さ……」

「シたいか?」

「え……っ」

突然、耳を蹂躙していた熱い舌が離れ、胸に触れていた指先も動きを止めた。

ぐったりとした体を塀に凭れかけたまま驚いて顔を上げると、憎たらしい程の笑みを浮かべた恋人がジッと高尾を見つめている。

「もうシたくてたまんないって顔に書いてあるぞ」

「……ッ」

「オレは別にやめたっていいんだけどな」

「今止めたら、辛いのは宮地さんも同じっしょ? つかさっきから太腿にすっげー当たってるし。案外我慢できねぇのは宮地さんの方だろ」

「ああ、そうだな。じゃぁそれでいいわ。オレもこっち来てからずっと我慢してたし今すっげーシたいからヤらせろよ」

答えなんて最初からわかりきっているくせに敢えて言わせようとする。素直にウンと頷くのは悔しくて嫌味を言ったのに、反撃を食らって言葉に詰まった。

どうするんだ? と聞かれたら、反論の言葉が出てこない。

「……宮地さんの馬鹿っ」

背中に腕を回しながらそう呟いたら、宮地が満足そうに笑った。


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