No title
あぁ、自己嫌悪だ。あの後結局流されてしてしまった。お蔭で膝はヒリヒリするし腰はだるいしで最悪だ。
「大丈夫か? 顔が赤い気がするのだよ……」
机に突っ伏してはぁと大きなため息を吐いていると、緑間が目の前にやってきた。
「熱でもあるんじゃないのか?」と、尋ねられぶんぶんと首を振る。
「うえっ!? だ、大丈夫っ! 大丈夫だからっ!」
結局、夕べ緑間はラッキーアイテムを取りに来なかった。それが何を意味しているのかはあまり考えたくない。
「あ、そういやさ……真ちゃん昨日何を言いかけたんだよ? オレすっげぇ気になるんだけど」
「大したことじゃないのだよ。気にするな」
「だから、気になるから聞いてんだろ!」
そういうと、緑間はきょろきょろと辺りを見回し、ひそひそ話をするように口を耳元に寄せてきた。
「宮地さんは手加減してくれないのか?」
一瞬何を? と思ったが、理解した瞬間、まさにボッと音がしそうな勢いで赤面した。
「真ちゃん!? な、なななななに言って……!」
「違うのか?」
「違う違うっ! そんなんじゃねぇって!」
真っ赤になって否定する高尾をチラリと見て、
「だが……、最近のお前は随分色っぽくなったように見えるのだよ。物思いに耽って溜息を吐いたり、赤い顔をして目を潤ませていたり……」
「えっ、色ぽ……って、うそ……っ、俺そんなに?」
「あぁ、もっとわかりやすく言ってやれば発情期でも迎えたのかと思うほどに、だ」
「ぶほっ! ちょっ! 発情期って!」
ショックだった。まさか緑間にそんな風に思われていただなんて!
確かに四六時中考えてしまっているけど。夜もここ一カ月程は一人でスる回数がいつもより多い気がするけれど。
だって、どうしても思い出してしまうのだ、宮地としたあんなことやこんなことを……。
そこまで思い至ってハタと気付いた。
(オレってば、宮地さんの事オカズにしちゃってたんだ!)
衝撃の事実に愕然とした。恥ずかしさのあまり頭から煙でも噴いてしまいそうだ。
「……ッおおお、俺っ! ちょっと顔洗ってくるっ!」
「……もうすぐ授業が始まるのだよ」
「〜〜〜っ!」
一人あたふたして机に突っ伏してしまった高尾を、緑間は悟った表情で見つめていたが、可愛そうだと思ったのか眼鏡を押し上げ何も言わずに見つめていた。