No title

「……止めてもいいのか?」

「……っ」

耳元で息を吹き込むように囁かれ、高尾は官能に濡れた瞳で宮地を弱く睨む。

「そんな目ぇ潤ませて凄んだって怖くねぇよ」

意地悪く笑いながら、首筋をぺろりと舐められた。痕が残るか残らないかの微妙な加減で吸い付かれ息が上がる。

「ぁ、んんっ……」

たったそれだけの事で声を上げてしまう自分が情けない。

身体のラインを確かめるように両てのひらで腰を撫で回される。右手が後ろに回るのを感じドキリと期待で胸が大きく跳ねた。捏ね回すように尻を揉まれ指が再び割れ目をなぞる。焦れた指先に後ろの窄まりを押され小さく息を詰めた。

「なに腰揺らしてんだよ。イヤなんじゃなかったのか?」

耳に息を吹き込むように酷くセクシーな声が甘く囁き、ゾクゾクっと背筋を怪しい震えが全身を駆ける。

「わかってるくせに……性格悪いっ」

ココはいつも自分たちが使用している体育館だ。こんな場所じゃ気が気じゃない。日常に卑猥なものを持ち込んでしまった罪悪感が付き纏う。

でも――。

心とは裏腹に、身体は宮地を求めてしまっている。

「もぅ、もういい……降参! だから、早く挿れてよ宮地さん。これ以上焦らされたらオレ我慢できねぇよ」

「……ッ」 

息を吐きながら見上げると、宮地が息をむのがわかった。そっと肩口を押され腰を高く引き上げられに四つん這いの尻に熱い塊が押し付けられる。

「んっ、ふ……は、ぁっ」

唾液のぬめりを借りて楽に入ってきたソレが、根元まで深々と埋め込まれ高尾の中で力強く行き来し始める。

突き入れられるたびに息が詰まった。

「ん、んふ……っ! んんっ」

体位の所為だろうか? いつも以上に奥深くにまで宮地が入っている気がして高尾は戸惑いを感じた。

「……だめッ、宮地さんっ、声が……っこえ、出……っ」

「俺しかいないだろ? 我慢すんな」

「やっ、恥ずかし……っ」

手の甲を口元に当てて、快感を堪える姿に言いようのない興奮を覚え宮地はチッと舌打ちをすると突然身体を倒して背中に伸し掛かってきた。

「声、聞かせろよ。俺しか見てねぇから」

高尾の手首を掴んで床に縫いとめ激しく腰を揺すり、首筋に宮地の切なげで耐えるような吐息がかかる。ふと、顔を上げたらさっき腰が砕けてしまったときに床に落としてしまったぬいぐるみと目が合ってしまった。

つぶらな双眸に見つめられ、ゾクゾクと全身が総毛立つ。

「あ、ん、ぁあっ宮地さん……だめ、く、クマが……」

「は? クマ?」

「真ちゃんのクマが、見てる……っ」

「なに? 緑間の私物見てコーフンしてんの、オマエ」

「ち、ちがっ」

「違わないだろ。さっきよりスゲー締め付けて……アイツに見られてるみたい?」

「……ッぅ、ああっ」

ククッと喉で笑いながら宮地の指先がいきなり性器をきゅっと握った。

「ほら、見せてやれよ。お前がイくところ」

「んぁっ、や! ダメっあっ! ああ……やだっ」

身体をがっちりと抱いたまま、性器への刺激が続く。前も後ろも攻め立てられて、身体がドロドロに溶けてしまいそうだった。

「ダメっ、だめだっ! ああも……やばっ、ヤバいって……!」

切羽詰まった声で懇願しても宮地が動きを止める気配は無い。それどころか、動きを止めて貰おうと身体を起こした拍子に腕ごと背後から抱きしめられて、激しく突き立ててくる。

「あんっ、ああっ」

しっかりと拘束されて逃げることも出来ずに、高尾は宮地の動きを受け止めるしかなかった。不安定な姿勢に膝が悲鳴を上げる。足がガクガクして倒れ込みたかったけれど宮地がソレを許さない。

「も、イク……っイく……ぁあっ!」

前と後ろを同じリズムで扱かれて高尾の背中が大きく仰け反った。突き上げられると宮地の性器の先が高尾のイイ所を擦る。そこを軽く刺激された瞬間、頭の中が真っ白になった。全てが快楽にすり替えられ、奔流となって迸る。同時に、背後で宮地がクッと息を詰めるのがわかった。

直後、くらりと眩暈がしてぐったりと宮地の胸に凭れかかる。

「……大丈夫か?」

そっと、汗で張り付いた前髪を整えてくれる宮地の指は優しい。

さっきまでの意地悪さが嘘のようだ。急に優しくされると戸惑ってしまう。

「やっぱ……こんなところでスるんじゃなかった……」

「あ?」

「オレ……思い出しちゃいそう……」

ハァハァと荒い息を繰り返しながらはにかむと、ナカに入れたままの宮地が存在感を増した。

「てめっ、あんま可愛い事言ってんじゃねぇよ」

「えっ? ちょっ、うそだろ!? さっき出したじゃん」

繋がった状態のまま、ぐりんと身体をひっくり返して冷たい床に押し倒される。

「可愛い事言うてめぇが悪い!」

「いや、いやっ! もうオレ無理だって! 膝とか超痛いし!」

何処でスイッチが入ったのかわからないまま、秋の夜長に高尾の悲鳴が響き渡った。


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