No title

「宮地さんがガン飛ばすから真ちゃん帰っちゃったじゃないっすか」

「あ? 俺のせいかよ」

「そーですよ。真ちゃん、なんか言いかけてたから聞きたかったのに……」

「んなもん明日聞きゃいいだろ」

遮る声は恐ろしく低く、それ以上は何も言えなかった。

「つか、なんで宮地さんがいるんっすか? 大坪さん達と一緒に帰ったんじゃ」

「最近お前無理してるみたいだったから、大坪が見に行ってやれって五月蠅いから来てやったんだよ! たく、それなのにいちゃいちゃと……」

忌々しげに緑間が去っていた方角を宮地が睨みつける。

「いや、全然イチャイチャしてねぇし! つか、オレ……そんなにおかしかったっすか?」

周囲に気付かれないようにしていたつもりだったのだけれど。さっきも緑間に言われたばかりだ。

「大坪も言ってたぞ。真面目にやるのはいいが少しオーバーぺースなんじゃないかって」

「マジ? みんなに心配されるとか、超ハズイ」

「……練習すんのは構わないけどな、大会前に身体だけは壊すなよ?」

「つーか、真ちゃんも宮地さんも心配しすぎだって! って、あれ?」

苦笑しながら落ちていたボールを拾い集めているとベンチ脇にあるものが置いてある事に気が付いた。

「どうした?」

「これ……」

手に取ったのは可愛らしいくまのぬいぐるみ(しかも無駄にデカい)

「お前の?」

「んなわけないっしょ。オレこんなファンシーなモン持ち歩く趣味ねぇし!」

こんなものを持ち歩いている男子高校生はこの学校に一人しかいない。

「真ちゃんきっとラッキーアイテム忘れてったんだな〜。今なら間に合うしオレ、ちょっと渡しに――」

ぬいぐるみの頭を掴んで、届けに行こうとしたら不意に腕を引かれ、後ろから抱きしめられた。

「ほっとけよ。思い出したら取りに来るだろ」

「ちょ、宮地さ……痛っ」

驚いた拍子に耳たぶにガリッと歯を立てられた。シャツの裾から手が差し込まれ冷やりとした手が直接肌に触れる。思わずぬいぐるみを落としそうになって慌ててソレを握りしめる。

「うわっ、なに考えてるんっすかっ! ここ体育館っすよ……!」

耳の後ろを舌でなぞりながら、慣れた手つきで小さな突起を探しあて指の腹で弄られび
くりと身体が震えた。


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