No title
ここまで来たら覚悟を決めなきゃいけない。
「おせーぞ高尾。先輩待たせんじゃねぇよ」
「――ッ!」
深呼吸をしていたら背後から腕が伸びてきて、覆いかぶさるように抱きしめられてひゃっと身体が強ばった。
「み、宮地さん……」
「メール見たら返事くらい寄越せよ。来ないかと思った」
「……っ、俺が先輩のメール無視出来ない事くらいわかってるクセに」
「まぁな。この間のアレ、大好きな真ちゃんにバラされたくねぇもんなぁ?」
ククッと小さく笑いながら、宮地さんは慣れた手つきでシャツのボタンに長い指をかけひとつずつ外していく。
「ちょっ、宮地さん……何処触ってんっすか!」
身を捩ってなんとか逃げようとしたけれど、押さえつける宮地さんの力が強くほとんど抵抗することが出来ない。
「ん? 何処って、高尾が好きなとこに決まってるだろ」
「そ、そんなとこ……好きじゃ、ないっす」
はだけたシャツの奥に、手が潜り込んでくる。胸元を撫で回す指先から、ぞくりとする感覚が全身を駆け抜け、身体が小さく跳ね上がる。
ぐりぐりと乳首を潰されて、俺は堪らず腰を捩らせた。
「ン、……あっ」
「好きじゃないって言う割には、腰が揺れてんぞ」
耳に息を吹き込むように囁かれて、かぁっと全身が熱くなった。
尖らせた舌で耳の中を舐められ、背筋に甘い痺れが走る。
執拗に繰り返される耳と胸元への刺激は直ぐに膝に来て、ガクガクと震えて立っていられなくなってしまう。
「宮地さん、や、やめっ……っ」
「止めてもいいけど、じゃぁ……緑間にこの間の事話してもいいんだな?」
耳たぶを舐めながら低い声がする。指先で首筋を撫でられ甘ったるい仕草にぞわっと全身の毛が総毛だった。俺はドアノブにしがみつくのが精一杯で、唇を噛み締め、首を左右に振って返事をする。
「ん……っ、んぅ」
「声、洩らすなよ。でかい声出したら轢くぞ?」
声の響きは穏やかなのに、言葉はちっとも穏やかじゃない。
胸から下半身へ人差し指がツゥと下りてきて、ズボンのチャックの上で、指が行ったり来たりを繰り返す。
もどかしくて、おかしくなりそうだった。じわじわと競り上がってくる下半身の疼きをどうにかして欲しくて宮地さんに腰を押し付けるようにしてしまう。
「なに? もう我慢できねぇの。やらし〜な」
「……っ、アンタが俺をこんな風にしたんだろ……っ」
揶揄するような声に抗議の声を上げたら、「誰にそんな口聞いてんだ?」と、苛立った声が聞こえてくる。同時にチリチリとチャックが下ろされて下着を掻い潜って宮地さんの手が俺のモノに直接触れた。
「――あっ……ぅン」
形を確認するように握りこまれ息が詰まる。
どうしよう。こんなところで。
今は昼休みで、人通りが少ないとはいえ誰がいつ登ってきたっておかしくない状態なのに。
胸と下半身を同時に弄られたら、もう、どうしていいか……。
「ぅあ……、は、……んっ」
下着の中で、宮地さんの手がクチュックチュッと音を立てながら愛撫する動きを速める。
「み、宮地さ……ぁっ」
「もうイきそう?」
ククッと楽しそうに喉を鳴らしながら、唐突に耳の中を舐められた。頭の中に直接響く生々しい水音に腰が痺れる。
だめだ、もう……っ。
「あ……ぁっ、ぁあ……んっ、宮地さん、も、やばっ……出……っ」
あと数秒で達してしまうと言うところになって、宮地さんがパッと俺から手を離した。
もう自分の力じゃ立っていられなくてその場に崩れ落ちた俺を宮地さんは面白そうにみつめる。
「なん、で……?」
「高尾ばっか気持ちよくなったって俺は面白くも何ともないからな」
ほら、咥えろよ。と、制服の下でパンパンに膨れ上がったモノを顔の前に押し付けられて思わず唇を噛み締めた。
「イヤとは言わないよな? 拒否ったらお前の真ちゃんに、言うぞ?」
冷たい視線が降り注ぎ、俺は思わず唇をギュッと噛み締めた。
弱みを握られている以上、俺に拒否権なんてない。
先輩が自分から動く気配はないから、俺に取り出せと言っているのだろう。
仕方なく手を伸ばしズボンのホックを外した。
下着をずらし、現れた性器を前に思わず喉がなる。
「――っ」
重苦しい気持ちでそれを見つめていても事態が良くなることなんてない。早くしろよと急かされて、泣きそうになりながらそれを口に咥えた。