No title

テレビからは引っ切り無しに「あけましておめでとう」の言葉が繰り返されている。

昨夜のカウントダウンの後からずっと続いているその言葉に、宮地はうんざりとして炬燵の上に突っ伏した。

「どうかしたんすか?」

「退屈で死にそうなんだよ! さっきからずーっと似たような番組ばっかでつまんねぇ」

お笑い芸人よりアイドルを出せと悪態を吐く宮地を見て高尾は思わず苦笑した。

「まぁ、正月なんて毎年こんなもんっすよ」

「そりゃそうだが……」

プチンと鈍い音をたててテレビを消すと、そのままゴロンと寝転がる。

「マジつまんねぇ。お前なんか面白い事しろよ」

「ブハッ! 宮地さんそんな無茶振り勘弁してくださいよ〜」

「いいからやれ! 先輩命令だ」

「えー、横暴〜!」

抗議すると、腹黒い笑みを浮かべて宮地が低い声を上げる。

「うるせぇ。いいからなんかやれって。これは先輩命令だぞ」

「いくら先輩命令でも、出来ないもんは出来ないっす」

「つまんねぇ奴だな。じゃぁ、何でもいいから楽しい事無いのか?」

そう尋ねられて言葉に詰まった。

「うーん……あ、そうだ! 初詣行きません?」

「今は人が多いから嫌だつったのはてめぇだろうが」

「ハハッ、そーでした。……じゃぁ、初売りにでも行きます?」

「面倒くせー。つか、なんも欲しいもんねぇし」

「じゃぁ、じゃぁ百人一首か羽子板とかは?」

「それってガキがするもんだろ? もっと楽しいことねぇのかよ」

小さい子供が駄々をこねるように、ゴロゴロしながら悪態を吐く宮地に、高尾は困り切って重い息を吐いた。

「もー、そんな文句ばかり言ってたら、何も出来ないじゃないっすか」

「仕方ねぇだろ。嫌なモンはいやなんだよ」

炬燵の上に乗っていたみかんを気だるげに剥きながら、宮地は暇だぁ……っと呟く。

「じゃぁ……気持ちいいこと、しません?」

「却下な。正月くらい休ませろ」

そっと耳元で囁いてみたけれど、即答されて言葉に詰まる。

別にシたかった訳ではないが、あっさりと断られればそれはそれで軽く凹む。


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