No title

席を立つときは一人だったのに、宮地の周囲を取り囲むように数人の女の子たちが佇んで何やら楽しそうに会話をしていた。

高校生か、大学生だろうか?

綺麗に整えた指先にネイルアートを施し、ぷっくりとした唇にはピンクのグロスが彩られている。胸元の大きく開いたTシャツの隙間から豊満な胸の谷間が覗き、わざと見せつけているんじゃないかと思うくらいに誘いを滲ませている。

自分とはあまりにも違い過ぎて嫉妬する気も起らない。

宮地もどうせデートするなら、こういう娘との方が楽しめるんじゃないだろうか?

「お待たせっす。宮地さん」

「お? やっと来たか。たくっ、おせーよ高尾。連れが来たみたいだから、またな」

声を掛けたら、宮地は当たり前のように女の子たちにそう言って手を振った。

「え〜、なにぃ? 連れって男の子じゃん」

「男二人で遊園地来てんの〜?」

なんて、不満そうな声が聞こえてくる。

「逆ナンっすか? モテますね〜宮地さん」

女の子たちの不愉快そうな視線を居心地悪く感じながら、促されるままに宮地の向かいに腰かけた。

「うるせーよ。アイツらが勝手に話しかけてきただけだ」

「彼女たち、宮地さんに誘って欲しがってたみたいだけどよかったんですか?」

「あ、寝ぼけてんのか? 今はオマエとデート中だろうが」

ドキッとした。改めてデートと言われたら妙に照れる。

「……俺が女連れてたから妬けたか?」

「え? 別に」

普通にそう答えて呆れられた。

「おまえなぁ。嘘でもいいから妬いたって言えよ。かわいくねぇ」

「可愛くって言われても……」

可愛さなんてどうやって出せばいいのかわからない。

一体宮地は自分をどうしたいんだろう?


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