No title

「てか、答えてやってもいいけど、俺も聞きたい事あるんだ。お前と火神って付き合ってんだろ?」

この質問を口にしたのは単純に好奇心から来るものだ。実は前々から気になっていた。

他のチームメイト達に対する態度とは明らかに何かが違う。普段の彼らはどうか知らないが、一緒にいる所をよく見掛けるし、何より二人の視線が全てを物語っている。仲睦まじく笑い合う姿に自分もいつか彼とあんな関係が気づけたらと、思わずにはいられない。

「……そう、見えますか?」

黒子は少し困ったような、でも何処か嬉しそうな顔をして真っ直ぐにこちらを見つめて頬を掻いた。

もしかして、読み違えたのだろうか。否、そんなはずはない。ただの友達にしては親しすぎるし、何より彼の首筋にはしっかりと所有の徴が刻まれている。

シャツで上手く隠しているようだが、動くたびにチラチラと赤いマークが見え隠れしているのを見逃すはずがない。

「そりゃわかるって! だって……」

ちらり、と黒子の首筋に視線を移しニヤリと笑う。

「上手く隠してるみたいだけど、俺には見えてるぜ? ココ」

「えっ?」

自分の首筋をトントンと指差して見せると黒子がハッとしたように目を丸くして、慌てたようにその部分を手で抑える。

「ぶはっ、何その反応。おもしれぇ! 気付いて無かったのかよ」


「火神君には見えるところには付けないようにって、口を酸っぱくして言ってるんですが……迂闊でした」

困りました。と、大して困っていなさそうに呟く彼を高尾は引きつった笑顔を浮かべながら見つめた。

それってつまり、見えない所には火神が付けた徴が沢山残っているという事に他ならない。

大人しそうに見える黒子が自分より進んでいると言う事実にほんの少し苛立ちを覚える。

「へぇ、愛されてんじゃん。羨ましいねぇ」

「高尾くんの所だってそうじゃないんですか?」

嫌味のつもりで言ったのに、痛い所を突かれてしまった。

「俺? さぁ、どうだろうな。つか、アイツは俺よりおは朝が大事なんだとさ」 

つい、先ほどの出来事を思い出してしまい、柵を握る手に力が籠る。

「あぁ、それでさっき一人でヌいてたんですか」

黒子は合点がいったとでも言うようにぽんと手を打ち、「高尾くんも大変なんですね」と、哀れなものを見るような目をする。



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