No title

「あ、宮地さーん! 今月の21日て何の日か知ってますか?」
部室に入って直ぐに宮地さんを発見したオレは満面の笑みを浮かべながらそう尋ねた。
瞬間、小さなため息が部室内に響く。
「あ? 俺の誕生日の10日後だけど?」
「ブフォッ、そーだけど! そーじゃなくて!」
「じゃぁ、知らねぇ」
「うっわ、冷てぇ」
予測していたとおりの反応に思わず笑いが込み上げて来る。
「21日が何の日か知りたいっすか?」
「興味ねぇ」
「えー、いいから聞いて下さいよ。21日は、ナント! 高尾君の16回目の誕生日でっす☆」
「……へぇ。だから?」
「だ、か、ら! プレゼント、下さ」
「自分で勝手にしゃべっておきながら、先輩にプレゼントタカるたぁ、いい度胸だなぁ高尾」
すかさず笑顔で側頭部を拳骨でぐりぐりされてこめかみがキリキリと痛む。
「いて、いでででっ! 頭! 頭われるっ! 割れるからっ!」
「たく、アホな事言ってないで練習すっぞ!」
容赦ない攻撃に堪らずギブすると、〆にバシッと頭を叩かれた。
「へーい。たく、宮地サンってばオレが馬鹿になったらどうするんっすか」
「安心しろ。お前はもう馬鹿だから、これ以上悪くなることはねぇ」
「ぶはっ、ひっでぇ……」
ぱたんと扉を閉めて、宮地さんが部室を出て行こうとする。慌ててオレもロッカーの扉を閉めた。視界の端で真ちゃんが、またやっているのかと言わんばかりの小さなため息を吐くのを俺は見逃さなかった。


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