No title


「――ッ」

どの位経っただろう? 気が付けば陽も暮れて辺りは真っ暗になってしまっていた。
もう、お互い何度果てたのかもわからない。
いい加減体力も底をつき、ぐったりとしてベッドに沈む緑間の腹の上では、未だ衰えを知らないのか高尾がブーブーと文句を言っている。
「えー、真ちゃんもうへばったのかよ? 体力落ちたんじゃねぇの?」
「馬鹿を言え、何回ヤったと思っているのだよお前は」
「さぁ? 7回……位か?」
「それ以上だ」
「マジで!? オレの腹ン中真ちゃんだらけなワケ? 赤ちゃん出来たらどーする? なんっちゃって」
恍惚とした表情で言われ思わず、高尾の頭をバシッっと叩いた。
「って〜ッ! 暴力反対!」
「お前が可笑しなことを言うからだろう!」
「照れんなよ」
「照れてなどいない! 馬鹿を言うな」
へラヘラと笑うそのおでこを軽く小突く。
そしてふと、気が付いた。
「……お前、耳はどうした?」
「え? 耳?」
高尾が自分でペタペタと頭を触る。そこには、途中までしっかりとくっついていたはずの黒い猫耳が跡形もなくなくなってしまっていた。
「……ないっ! 真ちゃん、耳どっか消えたみたい……って、おわっ!?」
緑間は黙って高尾の身体をグリンと反転させると、長い尻尾が生えていた部分を確認。やはりそこにも何も無く、見慣れた高尾の尻があるのみだ。
「イヤン、真ちゃんのエッチ〜。まだヤりたりないのかよ? やらしーな」
「なっ!? ち、違うのだよ!」
「ハハッ、冗談だって! ん? なぁ、真ちゃんケータイ切れてるけど……誰かに電話でもしてたのかよ」
「何!?」
言われてハッとした。そう言えば高尾の意識が戻らないからと、青峰に電話をかけていた最中だったような気がする。
全身の血の気が引いて、恐る恐る携帯手に取った。
通話は確かに切れているものの、通話時間の記録を見れば行為に及んだ途中までは繋がっていたようだと容易に推測が出来る。
「ゆ、由々しき事態なのだよ」
「え? なに? どーした?」
「青峰にさっきのアレを聞かれていたぞ!」
「へー、そーなんだ」
呑気な返事に、苛立ちが募る。
「そーなんだ。じゃないのだよ! 今度会ったら何を言われるか……」
まさに踏んだり蹴ったりではないか。
「まぁ、聞かれちまったモンはしゃーねぇし? 寧ろ隠す必要無くなって良かったじゃん。つかさ、なんで青峰に電話なんてしたんだよ?」
真ちゃん、青峰苦手なのに珍しいな。等と言われハッとした。
そもそも、高尾が勝手に桃井の作ったモノを食べなければ、こんな事にはならなかったハズだ。
そう考えると無性に腹が立ってくる。
「真ちゃん? どうした?」
「……全部、お前が悪いのだよ!!」
「なんっでだよ!? 意味わかんねぇって!」
再び頭を小突かれ、高尾の納得がいかない叫びが狭い室内に木霊していた。


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