No title

はぁ、俺一体何やってんだろう。なんだかんだ言って結局流されちまった。
俺が本気で拒否らねぇのわかってるから、あいつもああいう事するんだよな。
なんか、あいつのいいようjに弄ばれてるみたいで、なんかすげぇムカつく。
複雑な心境を落ち着けつつ、髪を整えていると背後に人の気配がした。
グレーががった髪をコーンロウでまとめ、耳には数個のピアス。試合を見物に来たヤンキー君か? と、思ったけれどジャージを着ていると言うことは恐らく何処かの選手か何かだろう。
ハッキリ言ってあまりお近づきになりたくないタイプだ――。
そいつは俺が気付いていないとでも思っているのか、ニヤニヤと君の悪い笑みを浮かべながらジッと俺の方を見ている。
「なんか俺に用っすか?」
「!? へぇ、よくわかったな」
「どーも。俺、視野が広いんでその位置丸見えなんっすよ」
「ふ〜ん……」
ヤンキー君ははじめこそ驚いた顔をしていたけれど、すぐにまた気味の悪い笑みを口元に浮かべ一気に俺との距離を詰めてくる。
「お前、秀徳のタカオ、だろ?」
「!?」
肩をぐいっと掴まれ物凄い力で無理やり身体を反転させられる。
洗面台横の壁に押し付けられ何がなんだかわからない。
「ちょっ、なんっすかいきなり」
品定めでもするかのような視線がなんだか薄気味悪い。つか、見ず知らずの男に壁に押し付けられる意味がわからねぇ。
「つか、あんた誰? なんで俺の名前……」
「ま、悪くはねぇかな」
「はぁ?」
コイツ、俺と会話する気ねぇだろ!
何処の誰だかしらねぇけど、ムカつく。
「そう怖い顔すんなよ。緑間真太郎――知ってるだろ? アイツの元、チームメイトだよ」
真ちゃんの、元チームメイト? つー事は、帝光の……。
「ま、真太郎の趣味にしちゃいいんじゃね?」
「は? さっきからアンタ何言ってんだよ? つか、いい加減離れてくんねぇかな――っ!?」
言っている意味がわからなくて、掴まれている腕を振り解こうとしたら不意に顎を持ち上げられた。
「お前、真太郎のお気に入りなんだろう? 更衣室の壁は薄いから、気をつけた方がいいぜ」
「……っ」
もしかしてさっきの聞かれてた? そう思ったらぶわっと羞恥心が込み上げて来て頬が熱くなってしまう。
「ふぅん、あいつとヤる時もんな顔するんだ? 悪くねぇな」
「か、カンケーねぇだろっ! つか、早く離せって」
「――俺さぁ、……人のモン見るとつい、奪いたくなるんだよね」
「!」
耳元で囁くように言うが早いか、俺の腕を掴んだままいきなりシャツの中に手を突っ込んで来た。
慌てて押し返そうとしたけれど、押さえつける腕の力が強すぎてビクともしねぇ!
閉じようとした股の間に膝が割り込んできて、俺を押さえつけたまま首筋に噛み付くようなキスが降りてくる。
「ひっ! ちょっ、やめっ」
「あいつのモノだと思うと、汚しがいがある」
「くそっ、離…せっ……ッ!」
ぴりっとした痛みに身体を強ばらせると、今度は同じ箇所をねっとりと舐め上げられ嫌悪感で全身総毛立った。
真ちゃん以外の奴にこんな風に触られるなんて、絶対に嫌だ。
だけど、もがけばもがく程、押さえつける力が強くなり、サディスティックな色あいが濃くなっていく。
「諦めて俺のモンになれよお前。絶対に真太郎よりイイって言わせてやるから」
耳朶を唇で挟みながら、低い声が息を吹きかけるようにして囁く。
「じ、冗談じゃねぇっ! 誰が、お前なんかっ」
ありったけの敵意を込めて睨みつけてもあまり効果は無いようで、嘲笑うように腕を引かれ、強引に身体を反転させられた。床に手を突いて腰だけを高く上げた屈辱的な体勢になり、シャツを引き抜かれて抵抗出来ないように腕にぐるぐると巻きつけられる。
「くそっ! 変態かお前っ! 馬鹿なんじゃねぇの!?」
「いいねぇ、気が強いの嫌いじゃねぇよ。そう言う奴を啼かせる時が一番興奮すんだよ」
すぐに天国へイかせてやるよと、覆いかぶさったままズボンに指がかかって、膝まで一気にずり下ろされる。
「ぎゃああっ! 脱がすな! 変態っ! マジお前、頭イかれてんのか!?」
「うっせーな。色気のねぇ声出すなよ」
「むぐっ!?」
チッと小さく舌打ちが響いたかと思うと、ポケットから取り出したタオルのようなものを口の奥に突っ込まれる。吐き出そうとしたけれどうまくいかず、喉の奥まで押し込まれて込み上げる嘔吐感で目尻に涙が滲んだ。 
「諦めろよ相棒くん。お前は今から俺に犯されるんだ」
「……っ! んん〜〜ッ」
冗談じゃねぇ! こんな奴に触られたくない……っ!
こんなの、真ちゃん以外絶対に嫌なのに!
床に這い蹲るようにして押さえつけられたまま、気味の悪い指が尻の肉を強引に掴んで左右に割開く。俺の抵抗なんて諸共せずにひやりとした空気と共に最も触れて欲しくない場所へ指が迫ってきて、俺は堪らず目をギュッと瞑った。
嫌だ! 真ちゃん、助けて!!


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