No title

「……やっ、真ちゃ……だ、ダメだって……誰か来たら……っ」
シンと静まり返ったロッカールームに、熱い息遣いが響く。
試合が終わり、帰り支度をしている最中の事だ。
流石に連日連戦で二人きりになる時間が殆ど取れなかったのがいけなかったのか、突然ロッカーに押し付けられた。
焦る俺を嘲笑うかのように、真ちゃんの熱い手のひらがシャツの中に潜り込んでくる。
「お前が声を出さなければ誰も気付かないのだよ」
「そう言う問題じゃねぇって……んぁっ」
真ちゃんの手によって開発されてしまった敏感な胸元を撫でながらゾクゾクするようなイイ声が耳元で囁く。
「お前だって、嫌いじゃないのだろう?」
「……んんっ」
唐突に耳の孔に舌が差し込まれ、濡れた音がくちゅくちゅと頭の中で響く。思わず声を上げそうになり唇を噛んで必死に耐える。
流されちゃダメだ。そう頭ではわかっているのに、体に力が入らない。
そりゃ、好きな奴とのスキンシップは好きだし、大事だとは思うけどでも、ココはいつ誰に見られるかわからないロッカールームだぜ?
先に行ってしまった宮地さん達だっていつ戻ってくるか……。
耳の中を弄る真ちゃんの熱い舌や息遣いと、いつ誰に見つかもしれない状況に、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
「……は、ぁっ真ちゃ……マジで、まずいって……っ」
「ダメだ、ダメだと言っているわりに、お前のここは既に臨戦態勢のようだが?」
揶揄するような声と共に、ジャージのゴムに手がかかり下着を掻い潜って真ちゃんの大事な左手が俺のに直接触れた。
「……ぅぁっ」
もう片方の手が顎にかかり綺麗な指先が俺の唇をぬるぬると撫でる。
そんな刺激にすらいちいち反応してしまい、体温がぶわっと上昇していくのがわかった。
「……ン」
思わず俯いてしまった顎を持ち上げられ、頭上にふっと影がさしたと思ったら目前に真ちゃんの顔が迫っていて、俺は堪らず目を瞑った。
「んっ……ンッ、は……」
顎をしっかりと固定され、しっとりと唇を吸われた。ほんの少し開いた口の中に熱い舌が滑り込んでくる。遊ぶように口内を探る舌先に翻弄されゾクゾクと背筋が震える。
その反応を見透かしたかのようなタイミングで、下半身を愛撫する指の動きが早まった。
「ぅあ……、は、ん……っ」
どうしようもなく甘い痺れが全身を駆け巡り腰がジンと痺れる。ほんの少し動いただけでも硬く尖らされた乳首が、シャツで擦れてもどかしい刺激を生んでしまう。
どうしよう、絶対マズイ。こんな所でイかされるなんて。
「どうした? イってもいいんだぞ?」
「んンッ、ばっか……耳元で、しゃべ……んなっ」
あぁ、も……ダメだ。俺の余裕がないのをわかってて射精を煽るような触れ方をしてくるからタチが悪い。
何処をどう触れば俺が感じるかなんて真ちゃんには全てお見通しだ。
下着の中で、クチクチと濡れた卑猥な音を響かせながら真ちゃんが手の動きをさらに早めていく。
これ以上は絶対にヤバい! そう思った瞬間。
廊下の向こうから、人の笑い声が聞こえて来た。瞬時にして全身が強張る。
「ぁっ、は……ッ、も、ダメだって真ちゃ、手……離せって」
「俺のことは気にするな」
「気になるっつーの! あっ、ば、馬鹿っ、ん、ぁあっ」
言うと同時に亀頭部に爪を立てられた。敏感になっているソコを刺激されたら抗うことなんてできるわけない。
鋭い痛みとともに強烈な快感が一気に駆け抜け、俺は真ちゃんの手によってあっけなくイかされてしまった。


幸い、このロッカールームに人が入ってくることは無かったけれど、明らかにドアの向こうには誰かが通行していて、もしかしたら俺の声、聞こえちゃったかもしれないわけで……。
「〜〜ッ、俺、嫌だっつったのにっ……」
俺が放ったモノでベトベトになった左手を見せつけるように舐め、愉しそうに俺を見る。
その姿が一段とエロく見えて、怒りなのか羞恥心なのかよくわからない感情が一気に押し寄せてくる。
くそ、涼しい顔しやがって!
「お前は、こういうスリルがあったほうが感じやすいからな。好きなんだろう?」
「す、好きなわけあるかっ! このっ、エロり間っ! 一人で勝手にヤってろよ! バカぁッ!」
もう色々限界でいたたまれなくて、ガキみたいな捨て台詞を残して俺はロッカーを飛び出した。


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