No title

ウインターカップが幕を閉じ、いよいよ俺たちも冬休み本番!
正月はどうせ暇だし、真ちゃんと初詣に行ったり一緒にダラダラ過ごそう。
そう、思っていたのに……
「正月? 今年はハワイで年越しなのだよ」
大晦日の夜。真ちゃんはそう言って家族と共にハワイへと飛び立って行った。
「チクショー! いいなぁ、ハワイ! つーか、そう言うことは早く言えよバーカッ」
正月の予定を聞いていなかった俺も俺だけどさ、仮にも恋人なんだぜ?
普通一緒に過ごしてぇとか思うだろ。
ハワイってさぁ、遠すぎるっつーの。
予定が狂ってしまった俺は当然ヒマなわけで……。
自分の部屋に戻ると、ヒヤリとした空気が頬を撫でた。
そのままベッドに倒れ込んで、おきっぱになっていた携帯に手を伸ばす。
携帯の待ち受けは、クリスマスに2人で撮った写真。
何気なくそれを見ていたら、無意識のうちに深い溜息が洩れた。
会えなくなってもう3日か……。
毎日電話はしてくれるけど、それじゃ物足りない。
真ちゃんに会いたい。会いたくて、会いたくて仕方がない。
声だけじゃ……足りないんだよ。
真ちゃん、真ちゃん、真ちゃんーー。
考えれば考えるほど胸が苦しくて、切ない思いに囚われる。
いかに自分が真ちゃんに依存していたのかを思い知らされた気分だ。
「早く帰って来ねーと宮地さんと浮気しちまうぞ……」
なんて、虚しい独り言を呟いて、真っ黒なままのディスプレイを見つめていると、不意に手の中の携帯がブルッた。
しかも今の独り言を聞いていたんじゃないかと思うほどタイミングよくまさかのテレビ電話!
慌てて俺も画面を切り換えると、見たくて仕方がなかった真ちゃんの顔が画面いっぱいに映り込む。
「珍しいなー。今日はテレビ電話じゃん」
「そろそろお前の顔でも拝んでやろうと思っただけなのだよ。深い意味はない」
「ふはっ、ナニソレ。それって遠回しに俺の顔が見たかったって言ってるようなもんじゃね? そんなに俺に会いたいのかよ」
「っ、そうだな」
「……っ」
てっきり憶測でモノを言うのはやめろ! とか、言い出すのかと思っていたのに、突然のデレに不意打ちを食らってしまい直ぐに言葉が出て来なかった。
つか、今この状況でのデレは正直キツい。
「どうした? 顔が赤いようだが熱でもあるのか?」
「お前のせいだっつーのっ!」
「?」
俺の気持ちなんて全くわかっていないらしい真ちゃんは画面の向こうで不思議そうに首を傾げる。


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